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噂をすれば恋
【女性向け 官能小説】

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-8


いやみのない会話で、その場は和んだけど
前評判通り、プライベートなことは一言ももらさなかった。
それはさすがとしか言いようがない。

帰りにお会計の時になって
「これって社内報の経費で落ちるの?」
と聞かれた。
「落ちますよ」と答えれば
「俺の分だけでしょ」と
小さく笑われた。

社内報編集分としてわずかだけど予算はある。
だけど、さすがに懐石二人分は落ちない。

「俺の分は会社から出して。
俺はそれだけの働きしてるしね!」

腕を組んで偉そうに言う姿が可笑しい。

「でも、山口さんの分は俺がおごるよ」
予感もしなかった言葉にあわてた。
そんな。初対面でおまけにこっちが無理やりお願いしたインタビューなのに。
「それは出来ません」
「いや。楽しい食事だったから。お礼だよ。
久しぶりの日本食だったし」
「困ります」
「じゃぁ、貸し『1』で。いつかこの借り返してね」
「・・・・ありがとうございます。ご馳走になります」

こちらにいやな思いをさせずにスマートにおごる姿はさすがだ。
感心した。

「スミマセン。予定の2時間を軽くオーバーしてしまいました」

そういうといきなり森川さんはニヤニヤし始めた。
「計算だから。気にしないで」
計算?

そう思いながら二人でお店を出ると
お店の壁に寄り掛かっていた金子さんが姿勢を正した。

「真樹。おせーよ」





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