それぞれの道1-19
「あ……」
見開いた目はそのまま脱力し通常サイズに戻っていき、こわばった顔の筋肉がホワンと抜ける。
バクバク脈打っていた心臓がキュンと疼いたような気がした。
そこにあったのは、確かあたしの誕生日に撮った写真。
あたしの誕生日は、クリスマスと年末の独特の賑わいで町全体がそわそわと浮き足立つ季節だ。
そんな賑やかな時期にあたしは誕生日を久留米さんと過ごした。
あたしのリクエストでイルミネーションを見てから、ちょっと豪華な食事をした、そんな幸せな1日だった。
彼からのプレゼントは、今もあたしの首に輝く一粒ダイヤのシンプルなネックレス。
プレゼントをもらったあたしは、嬉しさのあまりイルミネーションで彩られた銀杏の並木道をはしゃぎまくって歩いていたっけ。
よっぽど浮かれていたのだろう、イルミネーションの光がいつもよりも輝いて見えて、しばらくそれに見とれていた。
だから、久留米さんに写真を撮られていたなんて、今の今まで気付かなかったのだ。
イルミネーションを見上げているであろう、あたしの瞳は、人工的に作り上げられた瞬く星々がキラキラ映り込んでいた。
相変わらず半開きの口は間抜けだけれど、その写真を見ていたら、ニヤケが止まらなかった。
そうか、久留米さんの目から見たあたしは、こんなにも嬉しそうな顔して笑うんだ。