投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 261 もう君に会えない 263 もう君に会えないの最後へ

それぞれの道1-15

ふんわりと背中に温かさが伝わってきた。


同時に、彼の吐息が耳元をかすめたもんだから、思わず身体がビクッと身震いしてしまう。


視線を下に落とすと、お腹の前に大きな手があった。


「玲香、怒るなって」


背後から抱き締められて耳元で囁かれたら、たまったもんじゃない。


身体に電気が走ったあたしは、思わず小さな声をあげた。


こういう御機嫌の取り方ってズルい。


普段は素っ気なかったり、バカな真似してあたしを怒らせるクセに、こんなに甘いアメでまたあたしを釣って。


「ズルいよね、そうすればあたしの機嫌が直ると思ってるんでしょう?」


「あれ、違った?」


ほらやっぱり、確信犯だ。


ムカついたから、ギロッと睨みつけてやろうと、勢いよく後ろを振り返る。


「こんなんで機嫌直るわけな……」


そこにあるのは、歯を見せて笑う無邪気な久留米さん。


「…………」


……やっぱり、あたしはこの笑顔に弱い。


凄んだつもりの顔も、一気に脱力していく。


確信犯は抱き締めた腕にさらに力を込めて、


「じゃあ、どうすれば機嫌直る?」


と訊ねてきた。




もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 261 もう君に会えない 263 もう君に会えないの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前