あたしは死んだ?-1
目を開けたら、あたしはだだっ広くて真っ白な花だらけの場所に寝転んでた。
暑くもなく寒くもない。風の音ひとつ無し。
体にあるはずの着衣の圧迫感がない、つまりあたしは生まれたままの姿。所謂裸の状態で。
なに? この変な感じ。
てか、ここは一体どこよ?
仰ぎ見てる空らしき空間は、ピンクと黄色が混ざったみたいな変な色で、なんだか綺麗なのに、少々気味が悪い。
(あ〜、なるほど、これはきっと夢だな…)
ぼんやりとそう思って目を閉じて数秒、無になってみた。
すると、
「おいおい…マジかよ…」
「あ〜りゃま…久しぶりにイレギュラー発見…」
頭上から、男らしき二人の落胆を帯びた低い声が降ってきた。
(なに? イレギュラー?)
そろりと目を開けると同時に、あたしの…
「ひゃ――んっっ!!」
「ん〜、中々良い手応えの胸。感度も悪くなさそうだね」
銀髪の紅くて丸い目をしたベビーフェイスの男があたしの胸を揉んで微笑んでる。
(やだ♪ あたし好みのかわいいこ)
「いや、胸だけ良くても意味がない。大事なのはこいつが果たしてどれだけ淫乱かって事だろ?」
黒髪の紅い切れ長の目をしたクールな感じの男が、腕組みしながら、あたしを品定めするかのように見下ろしてる。
(うわ…これまたイイ男だわ)
「…てかなにこの夢…。あたし、そんなに欲求不満か…」
思わず呟いたあたしを見て、銀髪の男は、
「ぷっ、まあ、そう思ちゃうのも仕方ないよね?」
小さく吹き出してあたしの髪を撫でた。
「結月(ゆづき)、欲求不満だとよ。軽いテストついでに解消してやれよ」
黒髪の男は、銀髪の男を結月と呼び、小さく鼻を鳴らすように笑った。
「え〜♪ 刀鬼(とうき)、僕が先に? いの?」
「ああ。オレが先だと、壊れるかもしれないからな」
「う〜んるほどね、納得納得」
結月と呼ばれる男は、暢気な声で笑った後に、
「それじゃ、お先に〜♪」
「――っっ! ぁう…んっ!!」
あたしに覆い被さり、いきなり唇を重ね、
「んっ! …ぁ…ふ……んっ…」
「…はぁ…んっ…ん…んっ…」
舌を濃厚に絡めながらのキスをしながら、あたしの胸の敏感な突起を捏ね回して……。
「ぅあ…っん! ちょっ…! ぁあっ…! 夢にしては、あんっ…! やけにリアル過ぎる!」
結月に与えられる快感に甘く疼く体。
互いの体温、荒い息使いまでも、全てに於いて激しくリアルに感じて困惑するあたしに、
「いやいや環ちゃん、これは夢じゃないよ♪ ここは三途の川の手前。現世とあの世の中間地点てやつだし♪」
結月は、暢気な声で笑った。
「は…? 三途の…川?」
またまた、ご冗談を…と、尋ね返すあたしに、
「お前はついさっき、死んだんだよ。今のお前は魂塊、所謂霊魂ってやつだ」
少し長めの黒髪、刀鬼と呼ばれる男は、冷たく光る紅い瞳で、結月とあたしの淫らな行為を冷静に見下ろしながら、
「三神環、残念だが、お前はイレギュラーに巻き込まれて、現世での肉体を失った」
顔色ひとつ変える事なくあたしに、そう告げた。