冬の到来-4
「ごっ、ごめん! 今のは絶対にわざとじゃないから!」
慌てて弁解しよう言葉を放つが、美羽はまだ起きない。
……おかしいな。
普通ならば「妹にやらしい事しようなんて! この変態っ ! 死ねっ!」と言い放ち、間違いなく起きて、蹴りのひとつやふたつ飛ばしてくはず…。
(も…もしかして、起きてる…のか?)
もしや、眠ったふりをしてからかわれてるんじゃないのか?
僕は恐る恐る美羽を覗き込んだ。 だけど、狸寝入りか本当に寝てるか、どちらとも判別し難い寝顔だ…。
そう思うと、白黒つける為に少しだけ悪戯してやりたい気分が沸々と込み上げた。
僕は、美羽の黒いタートルネックのシャツの上から、首もとから肩へと鎖骨に沿うように指をゆっくりと滑らせた。
「美羽ぅ〜…」
「っ…んぁ…ん…」
美羽は眉間に少し力を入れて、柔らかそうな唇から再度甘い吐息を漏らした。そんな声に僕の中の何かが蠢くように疼きだす。
このままでは行為をエスカレートさせて、犯してはいけない事をしてしまいそうだ…。
「起きてるなら、目を開けろよ。じゃないと…」
理性が働いているうちに。そう警告する僕の声が届いてないのか、美羽は依然として 眠る体制を崩さない。 眠ったふりなのか、本当に眠っているのか。 その曖昧な美羽の境界線は、なんだか僕を誘っているように思えてきた。
「本当にやらしい事…するぞ?」
起きていれば殴られるだろう覚悟の元、美羽の耳元でそう囁いてみた。
すると、美羽の体が微かに揺れた…ような。 しかし、それでも目を開ける事はなく。
「なるほど、意地でも起きないって事か…」
何故頑なに起きる事を拒むのかはわからないけど、僕もちょっとだけ意地になって、口を小さく歪ませるだけの笑みを美羽に向けてた。
「なるほど、何をされても文句はないってわけだな…」
僕は、少し大胆な行動に出る事にした。