冬の到来-3
「おいおい…、こたつで寝たら風邪引くぞ…」
買ってきた荷物を台所の調理台に置き、僕は眠りこむ美羽に近付き、顔を覗き込んだ。
化粧っけのない、きめ細かな白い肌。薄茶色の短いサラサラした髪。
閉じた瞼から上向きに伸びる長い睫毛にふっくらと柔らかそうな小さな唇。
ついこの前まで制服を着ていた子供だと思っていたのに、 こうしてまじまじと見つめると、すっぴんとは言うものの子供とは呼べない艶を感じて、何だか感慨深いよう気持ちになった。
あ、目の下に少しくまが出来てるじゃないか。
(昨日、あまり寝てないのかな…)
彼氏の事を考えていたんだろうか…。 そう考えたら、胸の奥に黒い霞がかかったような感覚がした。
「美羽、マジで風邪引くって。寝るならベッドで」
そう声をかけて揺り動かすけど、美羽は全く起きる気配を見せない。
「おーい、美羽」
怒って起きるかと頬を指つまんでみた。 その頬は思ってた以上にしっとりと柔らかくて触り心地がよくて。
なんだか楽しくなってきて、しばらく美羽の頬をつついた り、つまんだりとしていたけど、全然起きる気配が無く。
「おーい、美羽ー、ココアと昼飯とシュークリームー、要らないのかー?」
頬をつまむのを止めて、雛鳥にエサを与える親鳥の如く、 ひとさし指で唇を数回そっとつついてみた。 すると、
「ぁ…ぅ…ん…」
美羽は驚く程艶っぽく切なげな息をつき、少し開いた口から、少し舌を覗かせて小さな声をあげた。
その声や仕草は、僕が今までに一度も聞いた事も見た事もないもので。 驚くと同時に、なんだか実の妹に、物凄くしてはいけない事をしている気分になってしまった。
「お、起きないなら、ベッドに運ぶぞ…」
一応許可をとる。だけど返答はなし。
美羽をこたつから引き出し、体を抱えてベッドに置くと、 その振動で膝丈のスカートが捲れ、こたつで少し火照った薄紅の太ももが露になり、僕はその綺麗な肌に釘付けになってしまった。
思わず息を詰めるように、ゴクリと唾を飲み、捲れたスカートを直す為に手を伸ばすが、同時に、すべすべと柔らかそうな太ももに手を這わせたいという衝動が沸いてしま った。
(マズイだろ…妹に対して、僕は何を考えてるんだ)
そう頭で考えつつも、
(これだけ熟睡してるなら…少しくらいは…)
邪な事も考える。そんな僕の内なる戦いなど知るよしもなく眠る美羽は、
「…ん…」
再度短い吐息を零し、寒いのだろう、体をもぞもぞと縮めた。
そうだ掛布団! そう思い、美羽の体の下敷きになっている羽毛布団を引っ張ると、スカートが更に捲れて大変な事に…。
(この状態で目を覚まされたらかなり厄介だ…)
頭の中に怒り狂って僕を殴りながら罵声を浴びせる美羽の姿が浮かんで、寒い部屋の中なのにも関わらず背中に冷たい汗をかいてしまった。
「悪い、スカート直すから。べ、別に、疚しい事は全っ然考えてないからな…」
眠る美羽に言い訳をしながら、捲れたスカートにそっと手をかけると、太ももに僕の冷えた手が触れてしまい、
「あっ…ん…」
美羽は小さく体を揺らして、また艶かしい声と息を漏らした。