これ、罰ゲームですか?-3
入社した頃か…。
色々思い出してはみたけど、極めて存在感が薄く、言われた事のみを難なくこなして、誰に声をかけられるでも怒られるでもなく、ただ、なんとなく日々が過ぎただけ。
残念な事に浮かぶ思い出なんて…ないな。
毎日嫌味言われながらも頑張って仕事に挑み、確実に実力つけて成長してきた小島とは大違いだ。
「小島さんは、変わったよね…。なんていうか…強く逞しくなったってか…」
…また怒られそうな予感。
「ハッキリ言ったら? 女のくせに可愛げないって」
小島は小さく鼻を鳴らして、僕に視線を流した。
返答不可能。僕は彼女と視線を交えることができず黙りこむ事が、既にに答えになってる状態で。
「別にいいけどさ。そう思われることにはもう慣れたし、 可愛げないって自分でもちゃんと自覚してるから」
黙した僕の回答に、薄い笑みを浮かべて、彼女は夜空をみあげた。
「ごめんなさい…」
反対に僕は、苦笑いで少し俯いて、もう何度めかわからない謝罪の言葉を歩く地面に小さく落とした。
「ずっと気になってたけど何? 遠山君てそうやってすぐ 謝るの、癖なの?」
小島は呆れたような声を僕に投げて深いため息をひとつ ついた後、
「全く…」
と呟いて、口元に手をあてがい、なにやら楽しげに肩を揺らしてくすくすと笑いだした。
それは、普段見せる厳しい顔とは全く違うとても柔らかで暖かみのある笑顔で。
驚きを隠せずに戸惑った僕を見て、
「…何よ? そんなに私が笑うのが珍しいっての?」 小島は笑うのを止めて僕を睨んできた。
「あ、いや……ごめんなさい」
またまたついつい謝ってしまう僕に鼻を鳴らして、小島は盛大にため息をついた。