幽霊の子-2
2
美由紀が日本に帰って暫くして、<お世話になりました、結婚をしました>という簡単な手紙が届いた。
美由紀と過ごしたベッドシーンの数々を想い浮かべると、結末の平凡さに、幸夫の胸には、いささか切ない思いが横切った。
幸夫は、ふと名前を呼ばれて目が覚めた。隣のベッドの妻は、すやすやと寝息を立てている。疲れるからとダブルベッドを嫌う妻は、別のベッドで寝ている。
「幸夫さん」
声に振り向くと、ベッドの脇に、ぼーっと白っい蔭が立っている。
「来ちゃた」
「君は、美由紀」
「そおよ、来ちゃった」
「来ちゃったって、日本で結婚したんじゃないのか」
「だって、つまんないんだもの。私には、オーストラリアが向いてるのね」
「どうやって来たの」
「飛んできたの」
「飛ぶって」
「私、幽霊なのよ、だから何処へでも飛んで行けるの」
「だって、足があるじゃないか」
「やあね、幽霊だって足ぐらいあるわ。外国の幽霊は皆足があるでしょう。日本のは、芝居作者が勝手にでっち上げたのよ」
「ふーん、幽霊にしても何にしても、又会えて嬉しいよ」
「ほんと、若しかして腰抜かすんじゃないかって、心配したのよ」
「美由紀の幽霊なら、大歓迎だよ」
「ちょっと、そこに入っていい」
「いいけど、隣にかみさんが寝てるよ」
「奥さんには、私は見えないから、大丈夫」
美由紀の幽霊は、するすると着ているものを下に落とすと、ベッドに入ってきた。
「美由紀、逢いたかったよ」
「幸夫さん、抱いて」
美由紀の体は、いくらか頼りない感じがしないでもないが、以前と同じようにしっとりと、滑らかで、乳房に指が触れると、腰を摺り寄せてきた。
「前と変わりないね」
「そお、良かったわ。私も幽霊は初めてだから、どんなかなあって、心配はしてたのよ」
割れ目に指を差し込むと、すでに濡れ濡れで、幸夫の肉棒を待つばかり。
「入れていい」
「いいわよ」
美由紀を上向かせて、延し掛かる。もうコンドームは要らないだろう。なんてったって、幽霊なんだから。
亀頭から、陰茎へと、男根はぬるぬると嵌まり込んでいく。
「ああ、気持ちいい」
「声を出しちゃ駄目、奥さんに聞かれるわよ。私の声は聞こえないけど、幸夫さんは人間だから」
「・・・・・」
「そお、そこよ、いつもみたいに」
「・・・・・」
「とてもいいわ、ああ、とろけそうよ」
「・・・・・」
「ああぁ、もういく、いく、ゆきおさん、あなたもいって」
「・・・・・みゆきっ」