告白-4
3学年に上がり、クラスが変わる事は無く、俺が樹里奈と目が会うとお互い背け合い
彼女は、俺の事を忘れようとする様に、学級委員となり、振り切るが如くテキパキと役目
を果たし、かつて樹里奈を犯罪者呼ばわりしてた関口達も、序所に彼女への嫌悪感が薄れ
かつて大掃除などで、テキパキと指示を送ったしっかり者が、元に戻り。
かく言う俺もまた、サッカー地区大会に向けて、今まで以上に精を尽くし、俺もまた
あの頃の様に、キャプテンに戻り後輩達の面倒を手厚くした。ただ大会になっても
彼女が応援に駆けつける事も無ければ、休みの日に二人で会う…、何て事も無く。
次第に、お互い大切な人の存在が薄れ始め…
家では、姉さんは何時も不定期な時間に帰ってきて、鞄をほおり投げ、重く蓄積した腰を
ソファーに降ろし、母さんに毎日の様に愚痴を零し。父さんは最近7時か8時には必ず
帰り、休みの日は大抵競馬番組でゴロネし。母さんは何時もと変わらず家事やママさん
バレーに精を尽くしている。
俺も、プロサッカー選手を目指し、頑張らないと…
でも、俺の心の中でどうもすっきりしない靄が広がっていくのを感じ
「支笏湖?」
「えぇ、私が高校生の頃、修学旅行で行った所何だけど、とっても良い所よ
落ち着いた感じで、土産屋も豊富で、グルメも中々で、何より一番なのは広大に広がる
青い湖、アレは凄い感動しなぁー」
ふと、夕飯後に流れた旅番組で北海道にある、支笏湖と言う観光地の紹介が流れ
ソレを目にした姉さんが「あっ」と言わんばかりに、思い出の地を語り。
姉さんが楽しいと思った場所、何よりテレビから映し出される姉さんの言葉通りの絶景
何だか急に胸が高まり、興味が沸いて来て、姉さんが一押しする様に
「アンタも行って見たら?丁度後1週間もしたら夏休みでしょ?だったら」
「でも、一人で行っても」
「なら、アノ子でも誘えば良いじゃん」
姉さんの言う、アノ子は勿論樹里奈の事だ、姉さんもアノ日自分の弟が警戒してたガール
フレンドに刺された時は、彼女の事を知りつつ止められなかった自分を責めていた
ダガ、俺が目を覚まし彼女への強い思いを知らず内に知った姉さんは、彼女への警戒心を
解き、今では普通の弟の彼女と認識している。
「で、でも遠いジャン、夏休みなら泊まる事は出来るだろうけど、旅費は?まして行き方
何てサッパリ」
「ふっ、一端に旅費とか言ってるし、それくらい出来るようにならないと、私も未来の
アノ子の姉としては心配よ」
「ちょ、姉さんっ!」
「そうか、樹里奈と結婚したら姉さんと彼女は姉妹、アレそうなると彼女は家に嫁ぐのか
?まぁそれならそれで」
「父さんは何時でも大歓迎だぞー、あんな器量が良くてしっかりした子が家に来れば
旨い飯と、旨い茶茶にありつけるってもんだ」
「悪かったわね、普段美味しく無くて」
向こうで、皿洗いをしてる母さんの耳に入り、言葉を掛ける。
「あーいやいや、でもいいなぁ我が家に今度はお淑やかな大和撫子が来る何て」
「悪かったね、ガサツでっ!」
今度は姉さんに文句、やれやれ…ずっと前まで「別れた方が良い」って言ったの誰だ。
「で?何時結婚すんの?やっぱお前はまず18までには…」
「うん、まずは高校を出て……って!俺はまだ彼女とはっ!」
「アラそうなの、ふーん、まっ色々あるよねー恋と言う物は」
「そういうお前こそどーなってんだよ、例の年上の医師とは」
どうやら、姉さんも職場恋愛真っ最中の様だ。
「トップシークレットです!、て言うか今そんな話関係無いでしょ、しゅうが樹里奈
ちゃんと、上手く支笏湖でラブラブ出来るかって事じゃん。」
「うーん、しゅうは子供の頃から、そういうの疎いカラ」
「そういや昔、ディズニーランドに行って、迷子になってドナルドに慰められてたの誰だっけな?」
そんな過去の話をまだ、そうとう面白かったらしいが。
父さんは、腕を組み、俺と樹里奈が無事に支笏湖に行ける様、思考を巡らせ
「よしっ!お小遣いは父さんが出そう、この日の為にコツコツ貯めてたへそくりを今
使おうではないか!」
「そんなっ良いよ、俺何かの為に」
「なぁーにを言う、遠慮はするなって何時も言ってるだろ!よし、早速へそくりを」
「あぁそれなら家のお金に使ったわよ」
「何!俺がコツコツ貯めた1万相当のへそくりが」
少なっ!
「そんなはした金じゃしゅう、旅行に行けないジャン、どうすんの?」
いやー、まだ行くとは…
「ならお父さんの通帳から卸せば良いわ」
「卸せば良いわ、じゃねーよ!あぁ……よし、父さんも男だ、我が息子よ!とくと使うが
良いっ!」
何、涙流してんだよ、何時か返してあげないと
「後は、行き方だけど、そこはインターネットや雑誌で調べれば…、まぁしゅうには
少し難しいかもだけど」
「そんな、しゅうだってもう中学三年よ、吉田サンとこの香ちゃん何て、中2で飛行機
に一人で乗れたのよ」
「へぇ、それじゃ後はしゅうの頑張り次第ね、彼女とどれだけ一緒に居たいかって言う」
「!」
そして母さんが、肝心な事を口にする。
「それで?どうするの?…」
「俺は…」