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5千円のハグ
【その他 官能小説】

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M市で-2

ワイは角を曲がったら急いで走ったんやが、随分前から右膝を傷めていたから早く走ることができんのや。
辿りついたところは公園の裏やったが、隠れていた積りが簡単に見つかってしまった。
「おじさん、とうとう会えたなあ」
以前より更に大きくなったカオルちゃんがワイの目の前に立ちふさがった。
ワイはそのとき気がついたんや。ワイの着ている服装は帽子から靴まで3年前と同じだったんや。
ずっと出かけてなかったから、着たのは2度目や。
けれど、あの子達にして見れば記憶を呼び覚ますのに十分だったってことや!
ま……まずい。なんとか誤魔化さなきゃ。
「だ……誰やったかいな? 人違いとちゃうか」
「3年前におじさん私たちと会ってるでしょう? お金出して変なことさせたでしょう」
「あっ、そうや。そうやった。あのときの子かいな。す……すまんかった。堪忍して」
するといきなりカオルちゃんはワイの左の頬っぺたを平手打ちしたんや。
そりゃあ利いたでえ。頭ん中がピィーンとなって、クラクラしたもんや。
「……のような大人が……したりするから……が良くならないんだよ」
「えっ、なんやて? なんて言うたん?」
ワイははっきり聞こえんかったんで聞き直したんや。
「とぼけるな!」
その声は後ろから聞こえたんで、ワイは振り向いたんや。
そしたらそこにナオミちゃんとセリナちゃんがいたやないか。
でもって、ナオミちゃんがいきなりワイの股間を蹴ったんや。
「ぎええええっ!」
ワイは気が遠くなった。吐き気はするし、痛いし。
「痛い。痛い。苦しい。助けて。堪忍してや。死にそうや」
ワイはそこにうずくまった。もう殆ど失神寸前や。なんかあそこから血が出てるみたいや。
ズボンが生暖かく染みて来た。ワイは懐から5千円札3枚出した。どうして出したかわからん。わからんけど出したんや。
「こ……これ1枚ずつやるから堪忍してや」
すると3人とも顔を見合わせてワイからそれを受け取ったんや。
「おおきに。許してくれるんかい。おおきに。おおきに」
けれど、あの子たちはワイの目の前でそれを破いて草むらの方に投げたんや。
「お金で買えないものも……んだよ。」
ワイはもう意識が薄れて来た。
「どうして……なことを……の? ……を言ってちょうだ……」
ワイはよく聞こえなかったけれどなあ、またとぼけてるとか言ってど突かれると困るから3年前のこと言ってると思ってとにかく謝ることにしたんや。
「堪忍してや、あのときは本当に魔がさしたんや。あんたたちがあんまり可愛いもんで、初めはハグだけでもと……本当にそれだけでもいいと思ったんや」
「思い出さすな! いっそ死んでしまえ」
セリナちゃんの声が聞こえて、それから意識が……



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