千年メダル-9
大切な親友と愛する人を失い、その遺族からは責められた久留米さんの心はいったいどれだけ深く傷ついてしまったんだろう。
それを思うと、かけてあげるべき言葉なんて到底見つからず、あたしは口を覆い隠しながらヒックとしゃくりあげるしかできなかった。
「だから、せめてあいつらが死んでしまったこの場所に、いつか花でも手向けてやらないとって思ってたんだけど、今の今まで来ることができなかった。
ここに来てしまったら、アイツらのことが自分の中で完結しちゃうような気がしてさ。
それでそのままのうのうと暮らすのが申し訳なく思えて……。
だったら、この罪の意識を抱えたまま残りの人生を生きていこうって決めたんだ」
ずっとジーンズのポケットに両手を突っ込んだままの久留米さんは、右手だけをそこから出すと、目元をグリグリ擦った。
どことなく涙混じりの震えた声。
「久留米さん……」
「芽衣子はさ、死ぬ直前に俺に“必ず幸せになって”って言ってくれたんだ。
多分俺を気遣ってそう言ったんだろうけど、アイツ、最期までホントバカな女でさ。
お前がいなかったら幸せになれるわけがねえってわかんなかったんだよな」
ポツポツと話をしてくれる久留米さんの横で、あたしはただ肩を震わせることしかできないでいた。