千年メダル-21
数年越しで久留米さんに伝えられた、最愛の人からのメッセージ。
茂さんを想うあまりに自分の未来を投げ出してしまうほど、バカみたいに一途な芽衣子さんは、久留米さんの幸せまでも純粋に願ってあげられる、とても優しい女の人だった。
これじゃ、諦めたくても諦められないわけだよね。
不思議と、負けたといった負の感情は沸き上がらなかった。
ただただ、彼女の優しさ、気遣い、器の大きさに敬服するだけ。
そして、そんな彼女にとことん惚れ込んだ久留米さんを好きになったことが、何だか誇らしくなった。
「芽衣子さんって素敵な人なんですね」
涙混じりの声でそう言うと、彼は、
「バカなだけなんだよ、アイツは」
と笑った。
でも、震えたその声は愛情がたっぷり込められていて、芽衣子さんへの想いの深さが伺える。