千年メダル-18
彼の真意がわからなくて、不安がよぎり始める。
写真をグッと握り締めたまま、横目で久留米さんを見てみると、彼は目を細めてキラキラ輝く水面を見ながら、
「……裏見てみて」
と、ボソッと呟いた。
思いもよらない言葉に、彼の顔を凝視するけれど、一向に海を見ているだけの彼を前にして、何も言えずにいう通りにするしかできなかった。
写真に指紋がつかないように、気を付けながらゆっくりそれをひっくり返す。
「あ……」
思わず声が漏れてしまったあたしを、彼はチラッと見てから、その視線を今度は備えた花束の方に向けた。
風に吹かれてガサガサ音を立てる透明な花束を包んだフィルム。さっき久留米さんが火を点けて地面に置いた煙草。
そしてその隣にちょこんと置かれたプレミアムロールケーキ。
何となく、茂さんと芽衣子さんが久留米さんを見守っているような、そんな感じがした。