千年メダル-10
「アイツらがいなくなって、俺、ずっとあの時から立ち止まったままだったんだ。
幸せになってなんて言われたって、茂とふざけ合って、芽衣子が横で笑ってくれて……あの日々に勝るものなんてない、ずっとそう思って生きてきた。
だから俺はアイツら以上の存在なんていらないって、なるべく周りと関わりを持たないように毎日を過ごしていたんだ」
少し落ち着いたのか、久留米さんは顔から手を離して今度はゆっくりあたしを見た。
彼が周囲と距離を置いていた理由は、やはり芽衣子さんと茂さんの存在が大きかったからだったんだ。
……やっぱり芽衣子さんには勝てない。
あたしは、顎に梅干しの種みたいなシワができるほど、下唇を噛みながら俯いてしまった。