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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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千年メダル-11

「そんな毎日の中で、ある日、変な女が俺の前に現れたんだ。

第一印象は綺麗な女って思ったんだけど……。

ソイツね、一向に点かないラブホのライターをしぶとくカチカチ点けようとするわ、鼻から煙草の煙を吐き出すわ、あげくの果てには人のこと勝手にゲイだ童貞だと決めつけるわ、間抜けでガサツで、すげえ失礼な奴だったんだ」


身に覚えのある失態をほじくり返され、噛んでいた下唇に更に力が入り、顔に熱がこもってくる。


……そんな風に思われていたんだ。


久留米さんがクスッと笑う横で、あたしは恥ずかしさだけがこみ上げて、両手を頬にあててきつく目をつぶった。


「他人と関わらないつもりだったんだけど、ちょっとしたきっかけでその女と話す機会があってさ。

苦手な微糖の缶コーヒーをもらって以来、ソイツはどんどん俺に話しかけてくるようになったんだ。

最初はめんどくさいって思ってたんだけど、怖じ気づかないで話しかけてくる彼女がなんだか可愛く思えてきて、いつの間にか喫煙室で交わす少しの会話が楽しくなってきて、……それにいつしか甘えるようになっちまったんだ」


その言葉に、きつく閉じていた瞳がゆっくり開かれる。


顔は相変わらず熱いままだけど、今熱を持ってる理由はさっきとは明らかに違う。


ゆっくり顔を上げて横を見上げると、いつの間にか彼は、あたしから目を逸らして、再び遥か海の向こうを見つめていた。




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