序章-1
僕が両親と引っ越してきたのは、中学生のときだった。真新しい畳の匂いと木造家屋の匂いとが私達を迎えてくれた。
引っ越してから間もないころ、庭先に何かが転がってきた。僕は縁側の隅に置かれたサンダルを履いて、その何かを確かめてみた。それは赤い色をしたボールで、程良く弾力が有って、手で打ち付けると弾んで帰って来る。ただそれだけなのに何度も繰り返して、遊んでいた。
子どもの足音がして、「ボールを取らせて下さい」。と声がしたと思うが速いか 僕の手の中にボールがあるの見ると、「ボールを返して下さい。」と両手を並べて前に出したので、僕はとっさにその子の手にボールを乗せた。両親が声を聞きつけて、「最近引っ越して来たので、よろしくね。」と言ったら女の子は「はい。」と言って帰ってしまった。
近所への挨拶回りは両親がしていてくれるのだろう。僕はあんまり興味が無かったので、近所の事はあまり知らない。
それから暫くして、女の子が「遊ぼう。」と来たので、あまり興味が無かったのだけど、引っ越して来たばかりだからと思って、少し相手をした。
子どもだからと思って手加減すると、時折強い球で返して来る。子どもというものは手加減するという事を知らない。
最も子どもの内からそんな事を考えているようでは末恐ろしい。
僕は一人子だったので 子ども同士の争い事や親を一人占めにしてみたい思いは無い(私は兄弟もいるのでそれなりに性格の違いも有り 今思うと なんでかなーと言う部分と どうしてこうなるのだろー と思う事が多田有るょ)
子どもというものは 生きてきた年数と回りの環境の違いがその子の思いのたけだろうか
その子も一人子だったので やはり遊び相手がほしかったのだろう。程なくしてしょっちゅう 我が家に遊びに来るようになった。最初は煩わしいだけであったが 慣れてしまうと あそぼー の声が聞こえないとさみしさもかんじる。
近所に同年代の子どもが居ないわけではないけど 明らかに自分と異なった性格の人とは友達になろうとは思わない。大人だって余りにかけ離れている異質を感じてしまう人とは 一線を引いているのではないだろうか。それでも大人はそれを表に出さないように振る舞う事が出来る。
子どもは大人の思考のしかたを知らないが 敏感な子どもは微妙な回りの空気さえも読んでしまう。
そして誰もが子どもだったのに 子どもだった自分を忘れてしまっている。ただこんな事が有ったという事実以外は その時の心は多分置き忘れているように思える。
それから十数年経ってから僕は両親とひっつ越したその家から離れて 仕事場へ近い戸建てへと引っ越した。といっても賃貸を格安に提供していただいている。僕としては周りの木々の空間と家々の間合いがとても気に入っている。それにこの家には 不釣り合いなくらいの芝生も広く張ってある。大都市にとても近いとは思えない所がもっとも気に入っている所だ。
僕は本来 大勢で群をなしているのが好きなほうでは無い。だからと言って全くの一人でいるのが好きかと問われればそうとも言い切れないので一人暮らしも長くなると 苦痛に感じるようになるのではないかと心配している。
朝はたいてい目覚ましの音楽て゛目が覚める。
「さて今日も一日の始まりか」と一人でつぶやきながら 昨日の残りのパンを口に加えてしたくをする。
水分補給に白湯を一、二杯飲んでコーヒーかチョコレートのお湯で割ったのを飲んで体を温める。甘党にはたまらない。朝の忙しいひと時にあっては ほんの五、六分でもとても満ち足りる思いをかんじる。
昔は東京の空もスモックでどんよりとしていたとき聞いたが 最近は空の色は綺麗だと思うが、遠路はるばる海を渡ってくる 怖い物も有るという。
でも、やはり東京は心が無くなってしまったのだろうか。そう思うのは あたりを見渡しても無機質のなんと多い事かと。そんなことを考えているうちに自分の勤務先に着く。この一行によって通勤時の込み具合が苦痛で有る事に変わりはないのだが。今時は だれでも痴漢の冤罪をかけられたりするので両手を吊革につかまっていなければならない みたいに言ってているのってスリに財布を盗んで下さいと言っいるようなものと変わりはしないと思うのだが。
今時の法律はだれでも人を捕まえる事が出来るように変更していると思えるのだが、人の反応は何故だか声に表れては居なくて いつの間にか消えているように感じる。
こうして文章を書いているのも当たり前では無くなるのがとても恐ろしい。人は表現の自由が有るのに書く事の自由、歌ったり、踊ったり、芝居したり、勿論政治の話とか、世の中の事や勤務先の事、でも人の不幸は蜜の味 これだけはやめないと たんなる人の話を面白 おかしくしてるなんて 人間性が疑われるが それ以外の事は基本OKだと思うのだが