二人の罪-3
その腕を見つめ、咄嗟に顔を上げる樹里奈
「・・あ」
と、弱弱しい声を挙げる。
「・・器材はこれで全部?」
何を話せば良いのか分からない俺は、取り合えず目の前の出来事を処理しようとする。
「うん・・」
適当に詰められた器材の入ったダンボールを、再び持ち上げる樹里奈、しかしそのか細い腕は振るえ、ふいに足がよろけ。
そんな彼女の腰に軽く手を当て、「大丈夫?」と声を掛け、「有難う」と言い返され
「・・これ、理科室に持ってけばいいの?」
彼女の有無を聞かず、彼女の持ってたダンボールに手を伸ばし
「そうだけど・・替わりに持ってくれるの?」
目を見開き、手伝ってくれる事に慌て
「そんな!良いよ、自分で持つから・・」
と腕を伸ばし、さっきまで自分が持ってたダンボールに腕を伸ばすも、俺は軽くその手を
ダンボールから避け。
「いいって!、まだ病み上がりジャン、無理しない方が良いよ」
「で・・でも。」
「大丈夫、暫くして元気そうになったらしないから・・」
彼女は相変らず、良く人に気を使う・・、だからそんな罪悪感を吹き飛ばしてあげよう
横で見つめる彼女も申し訳なさそうな顔ではありつつも、俺の言葉の善意に気づいたか
落ち着いた表情で、俺に笑みを浮かべる。
「・・・・変わって・・無いなぁ。」
彼女のその言葉は小さすぎて、俺の耳には届かなかった
「よいしょ!・・ふぅ」
やっとこさダンボールを、樹里奈に指示された場所に置き、かるくなった腰をあげる
「アリガト、助かったよ。」
俺は軽く愛想良く「どういてまして」と言い、授業前で誰も居ない理科室を早々に後にしようとしたが、ドアに手を掛け、彼女に背を見せ言う。
「君は殺人犯何かじゃない・・、気にしない方が良いよ。」
「!!」
全く、何をしているんだろう俺・・、彼女とは・・もぅ。
何時までも俺の去ったドアに、目が止まったままの彼女