お暇の時間-2
「ねえ、泊っていかない?」
帰り支度を済ませ、玄関でヒール穿いている優子の背中に向かって陽子はさりげなく誘ってみた。
「うーん、ごめんなさい。やっぱり帰ります。これでもウチって門限と外泊には厳しいので」
誘いの声に振り向いた優子は、陽子の寂しげな表情を見て少し躊躇したが、それでも帰る事にした。
今回、陽子の家を訪問し、優子の知りたかった事の殆どが聞けた。
しかし、それは予想以上に重い内容で、優子の衝撃は小さくはなかった。
その後の陽子とのプレイで、多少は落ち着いたが、優子は気持ちの整理を付けるために1人になりたかった。何かあると『1人でじっくり考える』これが子供の頃からの優子の習慣だった。
『1人になりたいの』
寂しげな顔の陽子にそれを素直に言えなくて、門限を引き合いに出して陽子の誘いを断ってしまった。
「そう、わかったわ。今度来る時は外泊の許可を取ってから来てね」
陽子は残念そうに言った。
「はい…」
繊細な陽子を置いて帰ることに少し罪悪感を覚えた優子は、陽子の目線を避けるように俯いて返事をした。
「ふふ、でも傑作よね。外泊してもしなくてもエッチしまくってるのにね。知らぬは親ばかり」
陽子は気分一変させるように楽しそうに笑った。優子も陽子が無理をしていると感じつつ、陽子の気遣いに合わせることにした。
「やあね、そんなに回数はしてませんよ。だって車両に乗ったのはたったの2回だけですよ」
「そうだったかしら?優子ちゃんて、やりまくってるイメージしかないけど」
「全っ然っやってませんってば。そんなにイメージを先行させるなら、次の【お楽しみバージョン】を早く段どりしてくださいよお。実際やってないのにイメージだけなんて、なんか損した気分です」
優子は不貞腐れたような表情を浮かべた。
「あら、そうかしら?」
優子のその顔を楽しむように、陽子は意地悪そうにニヤニヤした。
「な、何がですか?」
優子はその意味ありげな微笑みに少したじろいだ。
「じゃあ聞くわね。【痴漢専用『特別』車両】ってなあに?」
陽子は満面の笑みを浮かべながら聞いた。
「えっ…」
陽子が言った言葉に、思い当たる節が有り過ぎる優子は、顔からサ―っと血の気が引いた。
それは但馬母娘を【痴漢専用車両】で堕とした後、家に送ってくれたプレイヤー達と楽しんだカーセックスを指していた。まさか陽子からそのことを聞かれるとは、優子にとって青天の霹靂だった。
「ホント、優子ちゃんてエッチなんだから。まさかあの後で車の中でエッチするとわね〜。星司の上に乗ってあれだけ腰を振ってたのに、あれで満足できなかったの?」
血の気が引いていたはずの優子の顔に一気に赤みが差した。
「だ、だって、だって、あの2人ってエッチしてなかったのよ。あのままじゃ可哀想じゃない。あ、あたしは別にしたくなかったのよ…」
「ほほほ、うそつき」
しどろもどろになった優子を陽子は楽しそうにからかった。