終焉♯-1
汐莉との約束の日。
(願わくば、自分の想像する様な展開にならなければ良いのだが)
俺の心は、もうひとつの悪い方向性の不安に、複雑かつ微妙に揺れていた。
しかし人間が生きて行く上で、常に“備え”は必要である。
そう自分に言い聞かせ、事前に用意した物を手にし車に乗り込む。
汐莉とは、互いの自宅があるK駅隣のM駅にて待ち合わせた。
そこで合流し、車に乗せ目的地へと向かった。
助手席の汐莉は、いつになく優しく俺に話しかけてくれた。
それは、“叔父との歪んだ関係を断ち切る為の禊”であるように思えた。
「ここって、一年前に来たところだよね」
目的地のラブホに着くと、汐莉は複雑かつ神妙な表情になりそう呟いた。
「そう、覚えててくれたんだ」
俺の言葉は限りなく、未練がましく情けなくもあった。
「私…… 先にシャワー浴びるね」
汐莉は部屋に入りなりそう告げると、バスルームへと消えていく。
おそらく、今日のこの時間を少しでも早く終えたいのであろう。
それが汐莉の思考の根源である事は、薄々気が付いてはいた。
俺は用意した物を使う決心をし、汐莉がバスルームから出て来る直前にそのスイッチを入れた。
「お兄ちゃん……」
ベットで待つ俺に汐莉はそう言いながら、細い指を絡め軽く扱き始める。
それは俺自身が教え込んだ行為にも関わらず、絶妙の力加減で俺を快楽へと誘う。
「汐莉ちゃん、お口でしてくれないかな?」
俺はそう姪に懇願する。
「良いけど、恥ずかしいから電気消してほしい」
汐莉は、何かを感じとったかの様にそう口にする。
「最後だから、汐莉の顔を見ながら……」
俺はそうはっきりと口にして、そのまま口淫を促す。
「じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ」
愛らしく可憐な容姿とは対照的に、汐莉の口元からは淫靡な音を立て俺を快楽へと誘う。
俺は不自然にならぬ程度に互いの位置関係を修正し、汐莉の行為が意図する方向へ向く様促す。
それは俺の汐莉に対する明確な裏切り行為であった。
汐莉との行為を盗撮しようと思えばいつでも出来た。
どちらかと言えば、自室の死角にカメラを仕込んだ方が、より良い“画”が取れたはずである。
あえてそれをしなかったのは、今でも心のどこかで汐莉を信じたかったのであろう。
(汐莉)
体勢を入れ替え汐莉の背後に廻ると、両脚を開かせた状態で指先を這わせる。
絶妙の角度で、指先は汐莉の中心を押し拡げる。
しかし指先の動きはいつもと異なり、レンズ越しの機器にその痴態を記録させる為であった。
「いやん、ちょっと何か変、そんなに拡げちゃ、やだようぅ」
両手指先で薄い肉襞を拡げられると、汐莉が不満を口にし抵抗を見せる。
「ごっ、ごめん」
少々強引過ぎた様である。
俺は素直に詫び、ソフト路線に作戦を切り替える。
考えて見れば、極端な“画”は必要無いのかもしれない。
要は汐莉の“非日常”さえ記録出来れば良いのだ。
その為にあえて、いつもの自分の部屋では無く、ラブホに来たのだから。
数分後、俺は汐莉の両脚付け根に顔を埋めていた。
「おっ、オマ…… こ、汐莉、おまんこ、いくぅ、いくぅ、いっちゃう」
汐莉のツボは、今まで蓄積された経験で十分心得ている。
絶頂を迎えた汐莉に、シックスナインの体勢を試みる。
一年半前は、その身長差から到底叶わぬ体勢であったが、成長した現在なら十分可能である。
身長152 B76 W54 H77 単なる目測であるが、中学一年生の汐莉のスタイルは女子高生の姉恵利子とほぼ変わらぬ程になった。
そう、この一年半に信じがたい成長を遂げる。
それは双子の姉が、理不尽な嫉妬を向ける程に美しく魅力的な変容であった。
汐莉を跨らせ舌先を這わせると、同時に汐莉が天井方向にそそり立つ俺を優しく包む。
その心地良さに、あっけなく俺は果てる。
「げっほっ、けほっ、けほっ、お兄ちゃん…… 出す時は、出す時は言ってくれないと……」
一度口に含んだ体液をティッシュに吐き出した後、汐莉はそう非難めいた口調で咳き込み言った。
嫌な気分であった。
以前は俺の先端からから迸る体液を“ミルク”と呼び、妙薬の様に欲し飲み干していた少女の姿は、もうそこには無かった。
仕方ない事ではあるが、自身の存在価値を改めて思い知らされる。
それでも俺は、三度の褒美を望まぬ少女に捧げた。
自宅近く近くまで汐莉を送り届けると、降車際に“約束”をあの日の携帯事手渡した。