メイ-21
アルミのフレームを拾い、アクリル板を拾い、台紙を拾い上げていく彼。
その様子を見る限り、壊れた感じはしなかったので、あたしは内心胸を撫で下ろしていた。
ただ中身がバラけてしまっただけなら大丈夫だろう。
そう思った矢先のことだった。
写真を拾おうとした久留米さんの動きが止まってしまったのだ。
「…………」
「く、久留米さん……?」
イレギュラーな反応に、瞬時に嫌な汗が出てくる。
もしかして、大切な写真を汚してしまったのだろうか?
いや、フォトフレームばかりに気を取られていたけど、ダッシュボードに傷がついてしまったのかもしれない。
もしそうなら、多分謝ったくらいじゃ済まされないかも……。
微動だにしない彼の背中が妙に不安を煽り、何か言わなくてはいけないはずのあたしは、口をパクパクしたまま二の句を繋げないでいた。