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冬桜
【SM 官能小説】

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(第二章)-5

「あなたは、ぼくに与える苦痛で、ふたたびあなた自身を取り戻すことができる…。いや、ぼ
くの苦痛は、あなた自身の苦痛でもある…」

タツヤは吊られた身体を捩らせながら、まるで独り言のように小さく呟いた。


眩暈のするような艶やかなタツヤの裸体が私の瞳の中を潤す。その肉体はあのカクテルバーの
壁にかかっていた写真の中の男のように、凛々しく端正な胴体を露わにしていた。濁りのない
透明感のある肌はなめらかで奥深い肉感を秘め、腋窩の窪みから、性器のまわりまで一切の
体毛がなかった。

引き締まった胸部の薄紅色の乳首、微妙な陰翳に包まれた締まった腹部、白い太腿へ優雅すぎ
るほどの線を描いた双臀の切れ目…。そして何よりも巧緻な彫刻のようなペニスは触れがたい
存在の高貴さを湛えていたのだ。

男性なのに女性のような美しい肉体…いや、それは、女性の肉体のような脆いエロスを含んだ
ものでなく、エロスを超えてどこまでも美しく浄化された不思議な肉体だったのだ。


「こんな機会を与えてくれたあなたに感謝するわ…」

そう言いながら、私は、タツヤの体に吸い寄せられるように彼の胸肌に手を添え、頬を寄せる。
あたたかくも冷たくもなく、微かに湿り気を帯びた瑞々しい肌の感触が頬をなでる。すり寄せ
る頬にタツヤの胸の鼓動が密やかに伝わってくる。

堅く閉ざした蕾のような乳首の硬さに唇が触れただけで私の中が仄かに潤ってきそうだった。
私は彼の尖った乳首をそっと唇にはさむ。啄むように唇で愛撫し、舌先を乳首の根元に絡ませ
る。甘く歯を立てると酸味のある蜜の香りがふわりと口の中に拡がっていきそうだった。

…ああっ…あっ…

瞳を閉じたタツヤが軽くのけ反り喘ぐ。

クチュ、クチュ…と私の口の中で卑猥な音が微かに聞こえる。私は執拗に彼の乳首をしゃぶり、
強く吸った。なぜか私の体がそうすることを求めていたのだ。


私は乳首から唇を離すと、彼の裸体の前に跪く。鳩尾の翳りから下腹部へと唇を這わせる。私
が与える苦痛と快楽を物憂げに求めている精緻な肉肌の沈黙がわたしの唇を淫猥にくすぐる。

さらに陰毛のない彼のペニスに畏怖の念さえ抱いたように指を触れながら、垂れ袋の堅い部分
にそっと唇を這わす。微熱を含みながらもまだ萎えきった、つるりしたペニスの根元を淫靡に
舌先でまそぐる。タツヤは恍惚とした瞳を潤ませ、悶えるように裸体を捩ると吊り下げた鎖が
不気味な軋み音をたてた。

タツヤのペニスが私の唇の愛撫に呼応するように頭をもたげてくる。まるで蝋細工のようなペ
ニスの鈴口から覗く空洞は、美しい薔薇色の雲母の翳りを生もうとしているかのようだった。


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