それだけでよかった-7
陽介の手はすぐにあたしの背中にまわり、パチンとホックを外すと、解放感で吐息が漏れる。
手慣れた仕草も相変わらずの陽介は、すぐにあたしの乳房をそっと包み込む。
「うっ……ああん!」
冷たい指が捏ねるように乳房の先端を弄べば、たまらずに甘い声が出る。
こんなこと、誰がやったって同じなはずなのに、陽介に触れられてると思うだけで、細胞の一つ一つが敏感に反応してしまう。
「くるみ……」
「ああっ、陽……介……早……く」
焦る気持ちだけが先走って、彼の手を取ったあたしは、それを迷わずショーツの中に導いた。
もっと、あたしに触って。
とにかく不安を掻き消したかったあたしは、陽介の指を誘うために、立てた膝を自ら左右に割り開く。
あたしの身体を思い出してくれれば、きっと陽介は帰ってきてくれるから。
あたしとのセックスが一番相性がいいんだよね、陽介?
「すげえ濡れてるな」
ボソッと呟く陽介は、あたしの身体の反応に驚きつつも中に指を埋めていく。
それだけであたしはたまらずに涙をまた一つ溢した。
「ああっ……早く……陽介のが欲しいの……!」
少しずつ大胆になっていく指は、あたしの内部のボコボコした部分を優しく撫でて、次第にあたしのイイ所を集中的に攻撃してくる。
「はああっ! あんっ……いいっ……!」
「相変わらずココが弱いんだな」
陽介はあたしの顔を見つめながら、次第にあの意地悪な笑みを浮かべ始めていた。
それでいい。
どんな恥ずかしい抱き方をされたって、愛がなくたって、あたしに欲情してくれるなら、それだけでよかった。
わざとクチュクチュと水音を出しながら激しさを増す動きに、あたしは陽介の身体にしがみついて声を上げるしか出来ない。
身体の中心から隅々に走る例えようのない快感、身体の内部から沸き立つ感情。
「陽介っ……陽……介」
名前を呼び続ける度に、気持ちよくなった身体とは対照的に、胸が苦しくなっていた。