ご-4
「説明なんてないよ」
「嘘!あんなに堂々と交際宣言しておいて!」
「俺なんか部の女性の先輩に、あんたの同期よね?って詰め寄られたんだぞ」
「せめて私たちに教えてほしかったなぁ〜」
「だよな。社内報で知るなんてなぁ」
私だって・・・・みんなに公表するなんて思ってなかったんだもん。
もちろんそんな言葉を言えるわけもなく。
「説明なんてないよ」
と、もう一度小さくつぶやけば
「希望ったら。もう隠さなくても良いじゃん」
と、攻撃された。
ここで下手なことを言って
先日、山田さんが父に挨拶してくれたことまで
水の泡にしたくない。
もう下手なことは言えない。
そう思った時、貸切にされている個室のドアが開いた。
「ごめん。俺が時期が来るまで公表は待ってって言ったんだ。
希望。もう俺の方の問題は片付いたから公にして良いよ。
堂々と俺の恋人だって言っていいよ」
と、山田さんが優しい声でにっこり笑った。
なんであんたがここにいるのよ!!
恋人だなんて言いたくないんですけど!
チッと舌打ちしたいのを我慢して
「山田さん。なんでここに?」
と純粋な疑問をぶつけることにした。
「希望、土曜日のデートの時に今日の事言ってたじゃないか」
「そうだったっけ・・・・」
もちろんそんな話は出てないはず。
「今日の社内報見て希望が困ってるんじゃないかな?と思って」
原因はあんたじゃ!