ご-3
その日、なるべく部から出ないでやり過ごそうとしたけど
経営管理のツートップの野口さんが近頃、彼女が出来て
もう一人の山田さんまで社内報に載ったので
女子は蜂の巣を叩いたような騒ぎになった。
山田さんは宣戦布告をしたのか!
女子への宣戦布告なのか!!!
私はひたすらにっこり笑って沈黙を守り
このままさっさと定時で帰ろうとしたところに
社内メールが入った。
『今日の同期会、忘れてないわよね?』
あぁ・・・・
そうでした。
忘れていませんとも。
今日は同期会でしたね。
私たち同期は女性のほとんどが居まだ独身で
他の期に比べて社に残っている人数が多い。
仲が良くてたまに飲むんだけど・・・・
はい。そうでしたね。
今日でした。
思い出しました。
そう頭で悪態をつきながら
絶対に質問攻めに会う!とブルーな気持ちになって
メールにある、駅前の居酒屋に向かった。
ガラリとお店のドアを開けると
いつもなら7時をすぎないと絶対に来ないような男子まで
勢揃いしている。
ご苦労様です。
思わずそんな単語を発しそうになって
うっと言葉を飲み込んだ。
「希望。待ってたんだよ♪」
幹事が笑うその声に
背中に嫌悪感が走るのは私だけでしょうか?
私が席に着くと待ってましたとばかりにビールが注がれ
「カンパーイ」と
挨拶もそこそこにごくりと飲んだ後
全員が身を乗り出した。
「で?あの社内報、説明してもらいましょうか!」
皆最後まで社内報読むんだね・・・・・