その(2)-3
「シャワー浴びてるね」
言いながら、ソファに脱いだ服をぞんざいに重ねると下着姿で浴室に歩いていった。小柄で胸は小ぶりだがバランスのいいプロポーションである。
シャワーが夕立のように聴こえてきた。煙草をゆっくり一本吸ってから扉の前へ行く。曇りガラスを通しておぼろなミユキの立ち姿がくねるように動いている。
ノックすると、
「洗ったよ」
シャワーが止まって扉が開いた。湯を弾いた体が神々しいまでに美しい。
ミユキはマットに座り、後ろ手をついてM字に脚を開いた。
真っ白なデルタの毛を剃り、すべすべの丘にする。至上の楽しみになっていた。
(愛らしい……)
こんなに可愛い大人の陰部を見たことはない。『陽部』と言い換えたいほど弾けるように笑って見える。
膨らみにはほとんど発毛はなく、隠された部分とは思えない輝きを放っている。
クリームを塗り、引き延ばす。わずかな秘毛が泡に埋もれた。
剃刀を当てても音もなく柔毛は消える。
「先生……感じてくる……」
ミユキの上体が心持ち反った。小さな乳房に不釣り合いなほど乳首は大きい。いつも口に含みたい衝動にかられる。が、一度もしたことはない。
「終わったよ」
「もう?」
「きれいになったよ」
いつもこれだけである。
「先生も一緒にシャワー浴びようよ」
裸になって抱き合いたい想いは強くある。だがためらってしまう。
なぜか勃起しないのだ。キスをしても、抱き締めても反応がない。ほかの女ならたちまち怒張してのしかかっていく状況である。どうしてなのか。
初めは弱みを持つ女を抱くことに後ろめたさがあって自制が働いていたが、ミユキとの交流はすでに肉体の結びつきに流れていっても不自然ではない時間と密度をもっている。卑劣でも弄ぶことにもならないように思う。
「先生、洗ってあげるよ。いつも剃って終わりだもん。つまんない」
「じゃあ、浴びようか」
「うん、うん、嬉しい」
その気になったのは微かな兆しを感じたからだった。
だが、やはり勃ち上がることはなかった。充血は増したものの、挿入するできるほどの硬度に満たない。
ミユキは揉みあげるようにペニスを洗い、扱いた。さらに洗い流したあと、
「舐めちゃうよ」
膝立ちになってすっぽり咥えた。
(いい気持ちだ……)
袋を弄い、後ろに回した手は尻の溝をさぐってくる。
(相当な経験だな……)
いったい何人の一物を頬張ったのだろう。
口の中で舌が回転し、快感はめぐった。だが不思議と血流は逆巻くことがない。
「先生、入れてみる」
「入らないよ」
「入るよ。あたし濡れてるし。入れると硬くなるよ」
「また、今度にしよう。仕事が残ってるんだ」
ミユキを抱き上げて口づけした。彼女の手が背中にしっかりと回った。