雨の歌-4
良平はリサの頬を両手で包み込むようにして静かに唇を重ね合わせた。
リサは目を閉じ、それに応えた。
それから良平はリサの身体を柔らかく抱き、手のひらで彼女の背中を優しくさすった。
「素敵……」良平の唇が離れた時、リサは小さくそう言った。「キスって、こんなに素敵だったなんて……」
「僕も」良平は額を彼女のそれに宛がったまま、言った。「この前もそう思ったけど、リサさんの唇は、あなたのほのぼのとした性格の温かさと同じです」
良平はリサが羽織っていたローブを脱がせ、その身体をゆっくりとベッドに仰向けた。
リサは水色のランジェリー姿だった。
「リサさん……」良平は愛しそうにリサを見下ろした。
そして良平も帯を解き、ローブを脱ぎ去った。それから下着姿のまま、二人はベッドの上で身体を重ね合い、また唇を重ね合った。
「ん……」リサが小さく呻く。
良平はついばむように唇をとがらせ、頬、鼻筋と移動させた。そして閉じたリサの瞼に軽くキスをした。
「はあっ……」リサはため息をついた。
良平の腕がリサの背中に回され、ブラのホックが躊躇いがち外された。
リサは自分の乳房を包み込んでいる良平の大きな手の温かさが、今まで一度も反応したことのない身体の奥深いところにある場所まで届く気がした。
この世で一番大切な物を扱うように、静かに、ゆっくりと、良平はリサの肌をさすり、唇を這わせた。リサの身体はそれに合わせてゆっくりと、しかしはっきりと熱さを増していった。
良平の手がリサのショーツにかかったまま、動きが止まった。見つめている良平の目を見つめ返し、リサは小さくうなずいた。顔はすでに熱く火照り、彼女は荒くなっていく息を押さえ込もうと焦った。
小さなショーツがするりと脱がされ、良平も自ら下着を脱ぎ去った。
良平の身体がリサの全身を包みこんだ。
「ああ……」
下になったリサは良平の肩越しに目を閉じ、うっとりした表情を浮かべてため息をついた。
「リサさん、貴女が好きです……」
良平はそのままリサの太股に手を掛け、ゆっくりと開かせた。
「良平さんと二人で、熱くなりたい……。お願いです」リサが小さく良平の耳元で囁いた。
良平は一度身を離して、パスケースからプラスチックの包みを取り出すと、中身の薄いゴムを自分の熱く、大きくなったものに被せ、自分の唾液をその先端に塗りつけた。そして再びリサの身体に覆い被さると、腰をゆっくりと動かして、脈動しているそれを彼女の最も敏感で神秘的な場所に挿入させていった。
「ああ……」
リサがまたため息をついて、身体を小さく震わせた。
「リサさん……」
良平はそう言った後、腕をシーツに突いて身体を持ち上げ、波に揺られるように全身を大きく動かし始めた。
リサの身体もその動きに同調して、同じように揺れ動いた。
深く繋がった二人の身体は、静かに、しかし大きくいつまでもベッドの上を漂った。
それでもリサの肌にも、良平の身体にも、たくさんの汗の粒が光っていた。
リサは激しく荒い呼吸を余儀なくされていた。良平も歯を食いしばりながら、リサへの想いを必死で送り込もうとしていた。
「りょ、良平さん、良平さん!」
リサが大声を出した。
良平の身体が倒れ込み、再びリサに覆い被さった。
「リサさん!」
良平は両腕できつくリサの身体を抱きしめると同時に、彼女の口を自分の口で塞いだ。
その途端、良平の喉元でぐううっ、と音がして、良平とリサの深く繋がり合った下半身が大きく跳ね上がった。
どくっ!どくどくっ!
「んんんんんーっ!」リサと良平が同じように呻いた。二人の口は交差して重なり合い、身体をまるで春のそよ風に煽られる花のように震わせていた。