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ちぃ
【熟女/人妻 官能小説】

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ちぃ-1

 
大きな窓の向こうの駐車場を眺める。
 
晴れた秋空のいつもと変わらない景色だ。

煙草の煙を細く長く吐き出す。
 
そして、ブラック・コーヒーをすする。
 
こいつも、いつもと同じこと・・・。
 
小さな街にある街道沿いのチェーン店のドーナツ屋。
 
休みの日の午前中は、いつもここでコーヒーを飲んで時間を過ごしている。

 
三十九歳で独身の俺は、此処で煙草を吸って、コーヒーを飲んでいる時間が好きだ。
 
周りのテーブルの話し声を聞いていたり、家族連れの賑やかな光景を眺めていたり・・・。
 
そんな、二時間くらいが、俺の休日の気分転換である。
 
 
 
二つ右隣のテーブルに女が一人で座っていた。
 
見たことのない人である。

見るとも無しに見てみると、髪は珍しく『おさげ』。
 
『おさげ』って、もっと若い娘がするものだと思っていたが・・・。

痩せていて小柄、化粧っ気がぜんぜん無く(すっぴん?)、三十歳くらいだろうか?
 
携帯電話をいじって、マルボロ・メンソールを吸っている。
 
 
 
吸い殻で山になっている灰皿と空いたコーヒーカップを持ってカウンターに行き、コーヒーのおかわりを注文して、綺麗な灰皿を持って戻ってきた。
 
何故か、灰皿は、二つ重ねてある。
 
煙草をたくさん吸うので、一つでは足りないのか?

コーヒーのおかわりが運ばれ、マルボロに火を着け、また携帯電話をいじり始めた。

 
 
こちらは、相変わらず、特別することも無く、煙草に火を着け、窓の外の駐車場を眺めていた。
 
好い加減、根元まで吸って、火を消し、そろそろ店を出ようと、何となく、その女性を見たら、灰皿一つをバッグにしまい込んで、こちらを見た。
 
『目』が合ってしまった・・・。
 
ちょっと気まずくなったので、そのまま席を立とうとしたら、女性も立ち上がり、こちらに寄ってきた。
 
「うわっ・・・めんどくさ・・・・。」
 
と思っていたら、
 
「どこか、行こうか?」

と声をかけてきた。

「何も見てないですよ!」
 
と云うと、
 
「いいから、行こっ!」

と、いきなり袖を引っ張られてしまった。

「いやねぇ、ほんとに・・・アハハ・・・。」

などと、笑っている。

「『いやねぇ・・・』じゃねぇよ!」と思ったが、久しぶりに女性と過ごせる時間に悪い気がしなかったので、そのまま外に出た。
 
 
 
「どこに行くの?」
 
「あんたの車は?」

「あの紺の四駆・・・。」と云うと、
 
「ダッさ・・・・。」
 
「大きなお世話だよ!」

「あたしの車で行こうっ!」
 
ちょっと離れた所に停めてある赤の軽乗用車の所に連れて行かれた。

「人のこと、『ダっさ!』って云うほどのもんでもないだろっ!」
 
「いいから乗って!」

助手席に乗ったら、ぬいぐるみだらけである。
 
「クレーンゲームで取ったのよ。欲しいの一つならあげるわよ。」
 
「けっこうですよっ!」
 
 
 
車が動きだして、街道を走り出した。
 
繁華街に向かっている。
 
「お昼ご飯食べる?」

「灰皿の口止め料?」

「そんなんじゃないわよ! お腹空いてないの?」
 
「さっき、ドーナツ食べちゃったから・・・。」
 
「あなた、ご家族は?」
 
「独身・・・。」

「あら、あたしもっ! ねぇ、今日は用事あるの?」
 
「いや、特に・・・。」

「え〜、じゃ、行っちゃう?」

「どこ?」
 
「ホテルっ!」

「・・・・。」
 
 
 
風俗はあるにはあるが、こんな小さい街で、出入りする所を見られるとまずいので、月に一度くらい、ドライブがてら東京まで行って、済ませているというのが、俺の実情。

嫌な訳は無いが、こんな誘われ方は初めてだ。
 
ひょっとして、美人局(つつもたせ)か?

 
 
「あたしさぁ、旦那と別れちゃって、ずいぶんご無沙汰でさぁ、出会い系とかやってんだけど、あんまり、いい人と会えなくさぁ・・・。」
 
「俺はいい人なの?」
 
「嫌いな顔じゃないから・・・。 なんか優しそうだし・・・。」
 
 
正直、ちょっと不安だったが「出たとこ勝負」でいいかぁ・・・。」という感じで付いていくことにした。 
 
 
 
運転している横顔を眺める・・・。 
 
顔は、ほんとにすっぴんのようで、『そばかす』が少しある。

明るいところでみると、皺が思っていたよりもある。
 
切れ長の目で、細い。
 
美人ではないが、可愛らしい感じだ。
 
歳は、俺くらいか?

悪くない・・・。




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