慚愧の桜貝 ☆-2
「死にたくなければ……」
その言葉にあっけなくパンティーを抜き取られると、自分でもろくに見た事が無い部分に男の指先が伸びていく。
そしてこの男、藤岡精児が焼付く様な想いで待ち望んだ瞬間が訪れる。
中学一年生の時より、そのスカートの中を繰り返し盗撮し続けた少女、磯崎恵利子。
まるで作り物の人形の様に、無機質な愛らしさと清らかさを漂わせる少女。
その少女の薄布一枚隔てた向こう側に、精児は魅せられ叶うはずの無い歪んだ想いを滾らせ続けていたのだ。
(えりこ、恵利子、磯崎恵利子のマンコ…… パックリ拡げて、中の襞の一枚一枚までタップリ舐って、そして俺様のモノで抉って犯る!)
抑圧され鬱積した精児の欲望が精児の脳裏を駆け巡る。
「おいっ、恵利子、もっと良くマンコが見える様に、脚を拡げるんだよ!」
煮え滾る欲望そのままが、言葉になってこぼれ出る。
(えっ!)
精児の汚らわしい言葉以上に、恵利子の心を精児の言葉が浸食する。
それは何気なく発せられた言葉、正確には恵利子の名前そのものである。
(なんで!?、こんな人が私の名前を知っているの?)
急速に恵利子の心に、今まで以上に深い闇がたちこめる。
それは聡明且つ思慮深い恵利子故の、“架空の闇”であったのかもしれなかった。
(この人、私の事を知ってる? 知っていたとしたら、どこまで知ってるの?)
何気なく発せられたほんの一言。
その一言が“ナイフの恐怖”以上に、恵利子の心を呪縛し抵抗を奪う。
(ん! 案外素直じゃねぇか、いいぜ、恵利子。たっぷり可愛がってやる)
その心中を正確に察するには至らなかったが、精児の攻勢は激しさを増していく。
精児はベルトで恵利子を後手に拘束すると、性器を露出させる為スカート裾をウエスト位置まで捲り上げ固定する。
「良い眺めだぜ、恵利子。これでおまんこパックリだ」
精児は立たせた恵利子の前にしゃがみ込むと、右足を担ぐ様に開かせ左足一本で立たせる事を強いる。
その不安定さに恵利子は壁際に背を寄せもたれ掛り、倒れぬ様にバランスを取るしか無かった。
「うぅっ、むぐぅっ」
その嫌悪感から、形容し難い嗚咽が恵利子の口から漏れる。
それは丁度精児の口元近くに位置し……
精児の肉厚の舌が恵利子の中心に伸び、次に唇が覆いつくす様に吸い付く。
「びじゅっ、びじゅっ、びじゅっ」
下品且つ淫靡な音が狭い個室にこだまし始める。
まるでディープキスの様に恵利子の浅いスリットに吸い付くと、口中より伸びる舌先が繊細な肉襞を分け入り膣底を弄る。
(お人形さんみたいに澄ましていても、ちゃんとマンコがお前にも付いている。恵利子お前のマンコを引き裂いて、俺様のザーメンで満たしてやる! しかしその前に……)
「うぅぅ……」
探り当てられた花芯が舌先で弧を描く様に弄ばれ始めると、恵利子の頬を大粒の涙がつたいはじめる。
それは恐怖と屈辱から流れ出たものであった。
恵利子にとって、永遠と思われる程永い時間が続いていくかに思われた。
しかし精児にとって至福の時は、突如終わりを告げる。
行為は中断され恵利子の純血は守られる事となる。
偶然周囲で遊び始めた少年たちの野太い声を、藤岡精児は成人男性のものと聞き違えてしまう。
そして慎重かつ持ち前の猜疑心故に、慌ててその場を後にする事を“選択”したのだ。
不幸中の幸いと言っても良いのか、恵利子の純血は“偶然”によって守られる事になる。
それでも恵利子の精神的ダメージは大きく、男が立ち去った後も一時間近く動けず泣き顔を洗い身支度を整え、その場を後をするのに相当の時間を要した。
そして一週間後、傷付いた気持ちを自己修復しながら臨んだ高校受験ではあったが、結果は散々であった。
まさか痴漢にあったショックで高校受験に失敗したとも言えず、恵利子は忌々しい記憶を抱えたまま望まぬ私立校に入学する事になる。
学業運動両面において優秀な成績を修めた中学生時代の最後が、何とも納得のいかない形で終わりを告げようとしていた。