好き、だけど・・-7
俺らの所属するサッカー部は、ついこの前、地区大会に優勝したとは言え
油断大敵と、次の大会に向けて、この日も今だ「寒いっ!」と言う声が挙がりマフラーや帽子を被るクラスメート達を目にする程、肌寒い外の中、グラウンドの土を激しく蹴り、ボールを追っかける。
「いいかぁ!此間の地区大会に優勝したからって付け上がるなよっ!次の対戦相手は
かなりの強豪チームだ!しかもそのチームとは今だ一度も勝利を掲げた事が無い!
5年前に作られたこのサッカー部で、年に2,3回その強豪と争うも、最後は相手チーム
に惨めな背中を見せつけ、幾度と無く敗北をきした」
練習に励む俺らに向かって、その話を投げつける監督、・・その通りだ
今度こそ、そのチームから勝利を奪い取りたい、滅多に試合相手に出来ず今まで勝利した
経歴が無いのなら尚更。俺はいや俺たちはその試合には何としてでも勝ちたい・・
その為に、俺は先ほどからずっと目を吊り上げ泥だらけのボールを睨みつけていた
絶対に負けられない、・・そのプレッシャーから俺は少し、気持ちが焦っていた様で
「うわぁっ!」
「佐藤!?」
ボールを必死で奪い取ろうとする相手と、揉み合い、思いっ切り地面に背を打ってしまった・・。
「それじゃー、5時間目は取り合えず休んで」
保険の先生が診察するに、腰に軽いアザは出来るも、骨を打った様な感じは無く
部員や監督は念の為にしばらく安静にしといた方が良いと、申すも俺が何とか6時間目
にはベットから腰を上げると、皆に言い聞かせ。
「はぁ・・」
今頃5時間目の授業が、それゆえに静かで、たまに先生の歩く足音を耳にするくらいで
ただボー然と、白い天井を見つめ・・
「・・楓」
ふと、彼女の明るい笑顔を思い浮かべる
何だか妙に憂鬱になり胸が締め付けられる様に、不安な気持ちに苛ませる。