好き、だけど・・-4
「ほらよっ!」
縁日会場で、ある程度人通りの少ない自転車置き場である公園で、俺は見事当てた、くまモンの縫ぐるみを、彼女に手渡す。
「えっ?・・」
目を丸くし、不思議そうに、俺の顔を見つめる。
「くれるの?・・」
「勿論!その為にあんまりやった事無い射的をしたんだよ!」
俺の好意に、ボー然と開いた口のままの楓
少し思考を巡らせ、俺の両手に持つくまモンに手を伸ばし、受け取る
その顔は、眉を半分に潜め頬を赤く染め、縁日中意地汚く買い食いをするじゃじゃ馬姫には似つかない嬉しそうな顔をし
「あ・・ありがとう」
照れくさそうに、目線を地面に逸らし礼を言う
「どういてまして!」
俺も、彼女が喜んでくれた事に満足し、そのまま神社へ足を運ぶ事に
「・・にしても意外だな」
「えっ?何が?」
「まさか君が、そんな可愛らしい縫ぐるみを、あそこまで躍起になって欲しがるなんて」
「なっ!どーゆー意味よっ!」
「あっははははっ!」
再び、俺の知るじゃじゃ馬姫に戻った彼女は、からかって逃げる俺を追う