割り切った身体、割り切れない心-7
何かがふっ切れたあたしは、自分から陽介の唇を求めていた。
彼の顔を両手で包み込んで深いキスを求める。
「……んっ」
それに応えるように、陽介の舌もあたしの口内を蠢き始めた。
ピチャピチャと舌が絡み合う音が、やけにあたしの身体に火を点け、淫らにさせる。
唇が離れたと思ったら、自然に陽介の頬や耳や首筋なんかにも触れたくなって、せわしなくキスの雨を降らせていた。
スグルとのセックスでも、こんな積極的になったことなんてない。
一方陽介は、あたしのブラとカットソーをたくし上げて、胸をプルンと露にさせた。
裸の胸をすぐに愛撫するのではなく、まじまじと見つめる陽介に、あたしの唇も動きを止める。
「……どうしたの?」
「いや、綺麗な身体してんなって思って」
「やだ、胸が小さいからあまり見ないでよ」
自分の身体が細身な所は好きだけど、Aカップに近いBカップの胸には正直コンプレックスがあった。
スグルは貧乳好きだったから、今まで平気でいられたけど、今あたしを抱こうとしているのはスグルじゃない。
今さらながら、引き返せない所まで来ていたんだって思い知らされる。
慌てて胸を隠すあたしを見て、陽介はフッと笑ったかと思うとギュウッと抱き締めてきた。
「くるみ、すっげ綺麗だよ」
髪を指で梳きながら言う陽介の目はとても優しく、恋人に見せるような愛おしさを込めているような気がした。
そんな表情を見ていたら、何か胸が熱くなる。
「陽介……」
「ん?」
「……スグルのこと、忘れさせて。アイツのこと考えなくていいくらいに、頭の中を真っ白にさせて」
遊んでいる風を装っても、溢れてくる涙。
もう、ここまできたら泣いてることなんてバレててもかまわない。
陽介は一瞬だけ眉を潜めてから、涙を拭うみたいにあたしの瞼にチュッとキスをする。
そして彼は、シシシと笑うと、
「カノジョにもしたことない、エロいことしてやるよ」
と、おどけて見せた。
「……バカ」
陽介は冗談めかしてそう言うけれど、そんな軽いノリが今のあたしにはありがたかった。