割り切った身体、割り切れない心-6
あっという間にフローリングに押し倒されたあたしは、陽介からの熱いキスを受けていた。
ひんやりとしたフローリングに横たわる身体は、すでに熱く火照りだす。
スグル以外の男とキスをしているからか、全身に鳥肌が立つくらいゾクゾクしていた。
角度を変えながら舌を絡めてくる陽介のキスに、あたしはされるがまま。
片手はあたしの頭の後ろを支え、もう片方の手はしっかり手を握り合う。
でも、ほんのりコーヒーの味のするキスがなんだか気持ちいい。
あたしはこの温もりを離したくないと、強く強く彼の手を握り締めていた。
「んんっ……」
陽介の舌があたしの前歯の裏をツ……、となぞる。
スグルと違うキスの仕方に身体が疼き始めて、内腿を無意識にこすり合わせてしまう。
それほどに陽介のキスは、あたしの頭を真っ白にさせた。
絡み合った舌が離れると銀色の橋がかかっていて、彼はそれをグイッと手の甲で拭った。
そんな陽介を黙って見上げていると、いつもの調子のいい笑顔なんかじゃなく、やけに神妙な顔つきがこちらを見下ろしていた。
「……ここまで来たら、止めらんねえからな」
仕掛けたのはあたしだと、陽介はそう確認させる。
陽介がカノジョを大切にしてるのはわかっている。だから、責任はあたしにあると、そう言いたいのだろう。
でも、そんなのはどうでもよかった。
あのまま一人だったら惨めで仕方なかったから。
あたしが今こうしていることなんて、スグルは知るわけがないのに、こうすることで、自分は一人じゃないんだって、スグルに知ってもらえる気がした。
だから、あたしは黙って頷いた。
「……くるみ」
あたしの答えを聞いた陽介は、今度は身体に手を伸ばす。
余裕がないみたいに、荒々しく乳房を服の上から揉みしだかれると、熱い吐息が自然と漏れた。
「んあっ……」
ささやかな声を聞いた陽介は、次第にどんどん動きが大胆になってくる。
円を描くように胸をなぞっていた手が、するするとカットソーの中に入り込んだかと思うと、あっという間にブラのホックを外してしまった。
「ああっ」
締め付けられていた身体が解放されると共に、心も理性の枷から解放されたような気がした。