もう一つのクライマックス-4
ケンジは真雪の身体の火照りが落ち着くまで、顔を彼女の秘部に埋めたまま、腰をぎゅっと抱きしめ、じっとしていた。
やがて真雪が言った。「ケンジおじ、キスして……」
ケンジは身体を起こし、真雪を上から優しく抱いてそっとキスをした。
「優しい。ケンジおじ、優しいね。自分はイかなくても、相手を気持ちよくできるなんて……」
「男はそうでなきゃ」ケンジはふっと笑った。
「板東は、あたしが全然感じてないことがわかってても、無理矢理中に入れて、自分だけ動いて、奥に出して一人だけいい気持ちになってた。そんなのほんとのセックスじゃないよね」
「それはセックスじゃなくて、レイプだ」ケンジが言った。「いつでも出せばイける男だからこそ、相手の女性をイかせられなきゃ、そのセックスは失敗だ。男の敗北だよ」
「龍がケンジおじの息子で、本当に良かった……」真雪は上になったケンジの首に手を回して、キスをした。
ケンジは身体を起こした。真雪はだまって両脚を大きく開いた。
ケンジは自分の下着を脱ぎさり、真雪の脚の間にひざまずいて彼女の目を見つめた。真雪もケンジの目を見つめ返した。
「ケンジ……」
真雪の身体が小さく震え始めた。そして彼女は目を固く閉じた。
「真雪?」
真雪の身体の震えが大きくなってきた。
「大丈夫か? 真雪。ここでやめようか?」ケンジは不安そうに言った。
真雪が喉から絞り出すような声で言った。「だめ! やめないで、来て、ケンジおじ。大丈夫」
「で、でも……」
「平気。あたしの中に入ってきて。そうすれば……」
「ほんとに……いいのか?」
真雪は黙って大きくうなずき、出し抜けに起き上がると、シーツに正座をしていたケンジに抱きつき、耳元で囁いた。「ケンジ、仰向けになって」
「え?」
「あたし、上になっていい?」
「あ、ああ。いいけど……」
ケンジは真雪に促され、仰向けになった。真雪はケンジの両腕をとり、枕の脇に置かれていたタオルで両手首を縛った。
「えっ?」ケンジは顔をもたげて真雪を見た。「ま、真雪……」
「知ってるよ、ケンジおじって、拘束好きなんでしょ?」真雪はふふっと笑った。「ミカさんによくこんなことされてるらしいじゃん」
「そ、そんなことまで聞いたのか」
ケンジは赤面した。
「燃えるでしょ?」
真雪は拘束したケンジの両腕を頭上に上げさせ、ゆっくりとケンジの太股に跨がった。
また真雪の身体が小さく震え始めた。
「真雪、本当に無理しなくてもいいぞ。俺はいつでも止められるから」
「だ、大丈夫」
真雪は少し焦ったようにそう言うと、腰を上げてケンジの大きくなったペニスに手を添えた。
「ケンジ……」真雪はケンジの目を見つめた。
ケンジはひどく切なそうに真雪の視線を受け止め、ぎこちなく笑った。
真雪はケンジの太く、熱く脈動しているものを自分の秘部に導き、決心したように一気に腰を落とした。
「んんっ!」
「うああっ!」ケンジが大声で叫び、身体を仰け反らせた。
はあっ……
真雪は熱く長いため息をついた。彼女の身体の震えは嘘のように止み、全身がピンク色に上気し始めた。
「真雪……」
「ケンジ……」
真雪はゆっくりと腰を上下に動かし始めた。
「んっ、んっ、んっ……」
ケンジの濡れそぼったものが真雪の中に出し入れされる度に、彼は甘い声で呻いた。
「ケンジ、いい気持ち、とってもいい気持ち……」
真雪の腰の動きが大きく速くなっていった。
苦しそうに歯を食いしばったまま、ケンジは上になった真雪を薄く目を開けて見た。大きく揺れる丸い二つの乳房の向こうで、真雪はうっとりした表情をして喘いでいる。
彼は、真雪が乗馬をしている姿を思い出していた。事実、その腰の動きはまるで馬を疾走させているようにリズミカルに上下している。
不意に真雪は両手を伸ばしてケンジの胸に手のひらを置いた。
さらに腰の動きが激しくなっていく。
真雪は少し前屈みになり、秘部の上の膨らみをこりこりとケンジの同じ場所に擦りつけた。
「あ、あああ……ま、真雪」
ケンジの身体の温度が一気に上昇した。
「ケンジ、イって! あたしの中に……」
「真雪っ! うっ、うううううっ……」
真雪の身体が細かく震え始め、彼女はそのままケンジの身体に倒れ込んだ。そして真雪はケンジの頬に手を当てて、口を大きく開き、ケンジの唇を覆った。
「んっ、んんっ!」
ケンジの身体がビクン、と大きく跳ね上がった。
びゅ……、びゅくっ!
真雪はケンジから口を離し、叫んだ。「あああっ! ケンジ! ケンジっ!」
びゅくびゅくびゅくっ!
ケンジの身体が激しく痙攣を始めた。同時にケンジの身体の奥から噴き上がった熱い想いが、真雪の体内に激しく放出され続けた。
「真雪っ! 真雪ーっ!」
「ケンジっ!」