師弟の出会い-3
さて、淫乱母娘の当人達はどうなったか?
「はあ、はあ、はあ」
何故かこの騒ぎの大元であるお満の意識が残っていた。
お満は荒い呼吸を繰り返しながら満足気な表情を浮かべ、蜜の溢れた淫靡な割れ目を愛おしむように、ゆっくり擦りながら快感の余韻に浸っていた。
「ふうぅ、お満はとても気持ちようございました。母上も気持ちようございましたか?」
呼吸の落ち着いたお満は、満足気な息を一つ吐くと、体内のお敏に声を掛けた。しかし、さっきまで喘ぎ狂っていたお敏の声は頭の中からは全く聞こえなかった。
「母上?」
訝しんだお満が頭の中に思いを巡らせると、恍惚の表情を浮かべながら、白目をむいているお敏の姿が思い浮かんだ。
「ほほほ、母上ったら、かなり堪能したご様子ですね。あらあら、幽霊の癖に涎まで垂らして」
衝撃波を発したお敏自身も、それが想念の存在でありながらも意識を飛ばしていた。
しかし、お敏は元より、他の者がことごとく傍迷惑な衝撃波で意識を飛ばしていたのに、お満がその影響を受けなかったのはどういうことであろうか。
科学的に検証すると、それは肉体を持つお満が下半身に受けた『逝く』の快感が、体内の神経を経由して脳に達するまでには僅かであっても時間が掛るからだ。
しかし想念のみの存在のお敏は、そんな現実世界の抵抗物質(ここでは肉体、若しくは神経)を経由する事無く、瞬時で『逝く』の快感を得る事ができる。
その結果、お満より僅かに早く爆発したお敏『逝く』の衝撃波は、その余りの強さに瞬時にお満の体内から飛び出し、一拍置いて絶頂を感じたお満が影響を受ける事は全く無かった。
なので、お満は本来お満自身が備え持つ『逝く』を堪能したのみで、今回、竿之介の行為を通じて味わった『逝く』は通常の『逝く』であり、失神級の『逝く』では無かった。
この修羅場の中で、唯一お満に意識が残っていたのにはそんな理由が有った。
嗚呼、素晴らしくも科学的に説明が成りました。決してご都合主義ではございません。
お満は逝ったままで脳内で涎を垂らしているお敏は放って置く事にした。それよりも快感をもたらせてくれた竿之介に意識を向けるためにゆっくりと目を開いた。
「ふうぅ、竿之介の技のお陰で堪能できました。姉は感謝し…」
竿之介に対する感謝の言葉が途中で途切れた。
「ひっ!なっ…」
お満は目の前の修羅場を見て絶句した。そして辺りに漂く咽返るほどの匂いにようやく気付いた。
「うっ、この匂いって…」
竿之介は元より、餅右衛門や2人の小者まで、股間を大きくしながら恍惚の表情で白目をむいていた。そして男達の股間を濡らす液体が、辺りに漂う栗の花のような匂いで精子である事がわかった。
唯一意識を保っていたお満だったが、軽い頭には何が起こったのかサッパリわからなかった。しかし、叔父達の意識が戻る前に、竿之介を起こして逃げなければならないのだけは理解できる。
「竿之介、起きなされ」
お満は竿之介の頬をぱちぱち叩いたが、全く起きる気配は無かった。
「ああん、どうしよう」
その時、お満がまだ小さかった頃に、叔母のお早世がニヤニヤしながら言っていた言葉が、お満の脳裏を過った。