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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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樹里奈を消した-2

「から揚げ楽しんでってねぇーって・・、じっくり舌で転がそうって?」
思わずふく俺、でも自分だって出だしが「あー俺俺」だし人の事言えないな
そう苦笑いを一人で浮かべ、ケータイを片手で閉じ戻ることに

「・・思いっ切り楽しんで言ってね・・かぁ」
先ほどの母さんの言葉を想い返す、その言い方はまるで、辛い事を忘れそして思いっ切り
楽しんでおいで・・と言う感じだ
「・・・・」
身に覚えの無い事も無い、俺はふと足を止めその場で店員がしっかり磨いたピカピカの
床に映る自分の不安そうな顔と睨めっこをした


「遅いぞーしゅう、待ってたんだぜ?」
既に燃焼しノリノリな翼が、マイクを俺の方に向ける
「ゴメンゴメン、ちょっと親に電話してた」
そう言って俺も翼の元へ駆け寄り

「せんぼーんざぁーくらぁー夜にまいてぇー♪君の声もー聞こえないヨ♪」
俺は翼と肩を組み、某人気曲をデュエットする

その様子を、俺らと特に親しいサッカー部員4人と、その部員が連れて来た女友達二人が
楽しそうにリズムに合わせて手拍子をする、サッカーの地区大会で見事優勝しこの日も
冬休み期間中と言う事もあり、皆でパーっと打ち上げ会を開催しているのだ

「にしても佐藤先輩、良かったよな」
「良かったって何が?」

手拍子を止め、今だデュエットする俺らに視線を置きつつピザ片手に頬張り物申す後輩
「何がってそりゃー例のあの子の事だよ」
「あの子って・・、樹里奈さんの事?」

手元にあるメロンソーダを手に取り、喉に流し込みつつ首を縦に振る
「うん、ちょっと前まで彼女の事で色々とあって何時もの活気が無くなり」
「あぁ練習にもほとんど来なかったもんな」
話を途中で遮り、割り込む
「・・あの時は流石に焦ったな、何せ佐藤先輩はうちらのエースだし、今回の試合だって
先輩が居なかったら、今頃・・」
最後の方で言葉のボリュームが弱弱しくなり、ちょびっとになった自身のメロンソーダに
視線を落とす

「でも良かったじゃん、それでも最終的には復帰して今まで休んだぶん遅れを取り戻す様に練習に明け暮れて・・」
目をパッチリと開け、歌の後半に掛かった俺らに再び視線を合わせる
「・・先輩、ホントに大丈夫なんだろうか?俺時々先輩が無理してる様に見えるよ」
「・・・・」

何の気に無しに、代わりに手拍子を続ける女の子達に目をやる
「・・まぁ、そこはホラ!俺たちが踏み入れる領地じゃない・・つーかさぁ」
「・・・・」
「佐藤先輩は佐藤先輩で色々自分自身と向き合ってるんだろうさ、だから俺たちは俺たちで普通に練習に励もうさね」
「んん・・、そう・・そうだな、うん」

「おうおうおうおうっ!どーしたお二人サン!具合でも悪いのか?・・ほれっ!次はお前ら歌え!」
ようやく気が晴れ、顔を挙げた途端デュエットを終えた翼が時より手拍子もしないで
下向いて話をする後輩二人が気になり、半ば強引にその二人にマイクを手渡しデュエットをやらせる

「あっ・・はいっ!」


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