妖怪艶義〜天使〜-6
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『はぁ・・・。』
ベッドに寝転んで溜息をつく。でもそれは憂鬱ではなく、ある種の充足感を含んでいた。
――あの後ふたりで我に返り、互いに結構ハードに責め合ってしまったことを、微妙な雰囲気のなか謝り合った。
「守護する人間との交わりが、こんなに官能的だなんて・・・・」
頬を朱に染め、ぼそぼそつぶやく天使さまを思い出すと、心がむずがゆいような気持ちになって、今でも顔がにやけてくる。
「でも…これで少しは、気持ちが楽になりましたか?」
そう言って、俺を真っ直ぐ見つめる天使さま。その姿がだんだん、燐光の中にぼやけていって。
「私はいつでも、貴方を見守っています。だから、どうか頑張って。」
優しげな微笑みを残して、彼女は俺の知らない場所へと還っていった。
・・・・いや。そうだとしても、彼女はいつでも見守ってくれているのだ。
『はぁ・・・っ、よし。』
またひとつ息をつく。でも今度は、心に溜まったしこりを吐き出すように。
あんな美人に見られていては、いつまでも沈んじゃあいられない。
明日はやっぱり、企業研究やら面接対策やらをするとしよう。
そう決めて、俺は卒論の続きに取り掛かるため机に向かう。
・・・‘重労働’の後なので、今夜のところはいつまで続くか、分からないけれど。