嫉妬......-5
「キャッ!」
瑞希が倒れた。
「ゴメンなさい!大丈夫ですか?」
女の子に謝られた瑞希は
「大丈夫!大丈夫!アナタのほうこそケガしなかった?」
「私は別に....本当にゴメンなさい......」
「別にケガしてないから気にしないで!」
安心して横を見ると、さっき瑞希が買ったチョコが車道に飛び、チョコの上を車が通り過ぎていた。私はそれを拾って
「こっちは無事じゃなかったみたい....」
チョコの箱の残骸を見せると
「スミマセン!弁償します!」
そう言った女の子に
「でもそれって予約しないと買えないチョコじゃ....」
女の子の友達が呟いた。
「本当なの?」
「そうみたいだな!」
私が言うと
「どうしよう......」
女の子は泣きそうになっていた。
「はい!瑞希!」
私のチョコを瑞希に差し出すと
「えっ!?」
「いいから!ほら!」
「亜梨紗?」
瑞希は驚いたような顔をしていた。
「いいから受け取れ!」
そう言ってチョコを瑞希に押し付け、女の子に
「本当に気にしなくてもいいからな!」
そう言って笑って見せた。
「ちょっと!亜梨紗はどうするのよ!」
「これから考えるよ!」
「でも!」
「あのなぁ....アタシに彼氏が作ったチョコをその彼氏に渡せって言うのかよ!いいから!ほら!」
私からチョコを押し付けられた瑞希は困っていた。
「亜梨紗!ゴメン待った?」
純が走って来た。
「遅い!」
私が叫ぶと
「えっ?まだ約束した時間前だけど?」
「デートの待ち合わせで女の子を待たせるなんて....向こうでこんな事したら、即フラれるぞ!」
「ここは日本なんだけど....」
「なんか言った?」
私が睨むと
「ゴメン......」
不満そうに謝っていた。
「お前が遅れて来たから、せっかくのチョコがこうなってしまったじゃないか!」
チョコの残骸を見せると
「えっ?どうして......」
「アタシが転んだ拍子にチョコが転がって行って車に......」
「転んだって....大丈夫なのか!」
純は私の手を取ってケガをしていないか確かめていた。
「意外と大胆だな!公衆の面前でアタシの手を握るなんて......」
「バ....バカ!ケガしてないか確かめただけだろ!」
純は真っ赤になっていた。
「チョコを台無しにしちゃったから....アタシにしか出来ないモノをプレゼントするよ!」
「亜梨紗にしか出来ないモノ?」
「ああ....」
「亜梨紗!やっぱりするんだ!エンジェル・キス!」
瑞希が叫んだ。
「するか!ボケ!」
「えっ?いたんだ....瑞希ちゃん....」
「純君......今頃気づいたの?」
「ゴメン......」
「もしかして....亜梨紗しか見えてないとか......」
「そんな事ないと思うけど......」
「あると思うよ!純兄ちゃん、私達に気づかないもんね!」
「そうよ!葛城君は亜梨紗さんしか見えてないんでしょ!」
「えっ?いつからいたの?」
「初めからいたよね?笑美ちゃん!」
「うん!純兄ちゃんは亜梨紗さんしか見えてなかったんでしょ!」
「それは......スミマセン......」
純は小さくなっていた。
「あっ!もしかして....純が瑞希を助けた時に一緒にいた......」
「はい......」
私の問いかけに二人は同時に頷いた。