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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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嫉妬......-6

「だって!」
そう言って瑞希を見た時
「話をそらさないで!やっぱりするんだ!エンジェル・キス......」
「するわけないでしょ!そんな事するの瑞希ぐらいでしょ!」
真っ赤になって俯いている瑞希を見て
「したんだ......」
「ちょっと!亜梨紗!退かないでよ!やったって言っても一回だけよ!」
「したんだ....」
「ヤダ!もう......」
瑞希は両手で顔を隠してしゃがみ込んだ。
「なぁ....亜梨紗....エンジェル・キスってなんだ?」
当然のように純が聞いて来た。
「えっ!!」
私が真っ赤になっていると
「そんなに恥ずかしい事なの?」
純がさらに突っ込んできた。
「あのね......」
純に耳打ちすると
「それいいかも......」
そう言ってスケベそうに笑った。
「しないから!」
「ええっ!」
不満そうな声をあげた。
「何!」
私が睨むと
「いいじゃないか....それじゃぁ....何をしてくれるんだよ....」
「純のためにピアノを弾く......今日は純に聞いてもらうためだけにピアノを弾くから......」
「亜梨紗......」
「今日は叔母さんのコンサート会場で弾かせてもらえるの....もしかしたら今の私にはそんな実力が無いかもしれない......途中で止めさせられるかもしれない......でも一所懸命に弾くから......純のためだけに弾くから......」
「ああ....楽しみにしてる....」
「うん....」
頷いた時、純が手にしてる物に気づいた。
「それ....何......」
「カズ姉が持っていけって......亜梨紗の叔母さんの翔子(しょうこ)さんが来てるって言ったら持っていけって......俺が作ったザッハトルテ......」
「ふうん......」
(止めたほうがいいと思うけど......)
叔母はザッハトルテには厳しいからである。プロフィールに好きな物の一つにあげられていているので時々いただく事もあるが一口食べただけで止めてしまう。求めている味ではないと......ウィーンにいる時でさえそうなのだから日本では......まして純には申し訳ないが素人が作った物では......

私達が叔母のコンサートのリハーサルを行っているホールに着くと丁度休憩に入ったところだった。
「来たの?亜梨紗!」
叔母は私を見て声をかけ差し入れられたザッハトルテを口にした。
「違う!」
一口食べただけでそれを下げさせた。
「これ....持って来ないほうが良かったんじゃ....」
純が不安そうに私に囁いた。
「そうみたいね......」
私はそうとしか言えなかった。
「亜梨紗?そちらは彼氏?」叔母が純を見て言った。
「うん....」
「葛城純と申します!」
純が頭を下げると
「かず....さ?」
「えっ?」
「ううんなんでもないわ!それよりそんなに緊張しなくてもいいのよ!私は亜梨紗の母親じゃないんだから!私なんかで緊張してどうするの!こんなんじゃ心配ね....両親への挨拶の時はどうなるのかしら......」
「叔母さん!」
私は怒ったように叫んだが、叔母は気にも留めずに
「あなたが亜梨紗の......」
純を品定めをするように見つめていた。
「それは何?差し入れ?」
叔母は純が手にしている物に気づいた。


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