どっちつかずの気持ち-26
その横には、明るい茶髪が印象的な、軽そうだけど端正な顔立ちの男の人と、二人の間に挟まれ白い歯を見せて楽しそうに笑う、小動物みたいに愛くるしい顔立ちの女の子が写っていた。
この女の子がずっとずっと久留米さんの心の中を独占していたんだ……。
それを目にした瞬間、涙がジワリと滲んで、鼻の奥がツーンと痛くなった。
その横で心から楽しそうに笑う久留米さんがあまりに眩しかったからだろうか。
初めて見た久留米さんの心からの笑顔にどうしようもない焦りが募っていく。
あたしじゃ、ここまでこの人を笑顔にできなかった。
ワナワナと下唇を噛みしめる歯に力が入り、フォトフレームを持つ手も、白くなるくらい力が込められてしまう。
たった一枚のその写真に、あたしは激しい嫉妬をしていた。
「……可愛い人ですね、この人」
冷やかすつもりの口調で言ったけど、顔が引きつって声が震えているの、バレてるかな。
久留米さんの理想のタイプは、塁の好みの女の子とはまたタイプが違うのだけれど、共通してるのはあたしと全く正反対のタイプであることだ。
久留米さんは、あたしが持っているフォトフレームをチラッと見て、小さく笑うだけだった。
そのどことなく悲しげにも見える笑顔があたしの胸を痛くする。
こんな切ない顔をさせるのも、あたしでなくてこの女の子。
激しい嫉妬と、苛立ちだけが、あたしの心の中をどす黒く染めていくようだった。