どっちつかずの気持ち-20
「いや、だってさ……」
「わざわざ気付かない振りして、関係ない話をしてくれるんですもんね。
優しいなあ、久留米さんは。
……ホントは軽蔑してるくせに」
こんなこと言いたいわけじゃないのに勝手に動く口と、にじみ出てくる涙。
あたしのことなんて興味がないから、何も言わないってのは充分わかっている。
仮にそれが彼の優しさだとしても、あたしが求めているのはそんな優しさじゃない。
求めるものが得られなかったあたしは、駄々をこねる子供のようにボロボロ泣き出してその場にしゃがみ込んでしまった。
「宗川さん……」
「あたしが何しようが興味がないから、何も言わないんでしょ?」
「……ちょっと、落ち着けって」
久留米さんは周りを見回しながら、宥めるように静かな声を出した。
ダメだ、これ以上言ったら。
頭じゃわかっているのに、久留米さんが全然あたしに対して気持ちがないことに苛立つあまり、
「こんな真似してたのが、あたしじゃなくて死んじゃった彼女ならもっと真剣に叱ってたんでしょ!
久留米さんはあたしに興味がないから、何しようが関係ない顔できるんですもんね」
と、口に出してしまった。