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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第1章 日常-5

 ところがこのスキャンダル、件の議員が大臣を辞して、子供を認知することで解決を見せると、世論は一転。潔い態度は立派と好意的にとらえられ、かの議員は今も与党大物の座に居座っている。当の私生児は、世間の好奇の目にさらされるのを避けるため、もっともマスコミ対策に優れた高校へと進学させられた。それが藤堂瀬里奈である。後に聞いた話だが、彼女はこの事件が起きるまで、自分の父親を知らなかったらしい。
 そんな背景もあって、入学当初の瀬里奈は荒れていた。友達を作らず、いつも孤独で、陰口を叩く者があれば容赦なく暴力に及んだ。
 私生児とは言え認知された以上、与党大物政治家の娘を敵に回すのは誰にとっても賢くない。加えて瀬里奈は女の子にしては大柄な上、中学時代テニス部で鍛えており、まぁ、要するに喧嘩が強かった。
 そんな瀬里奈とあたしが初めて会ったのは、入学間もない四月の終わり。彼女が階段の踊り場で、泣いてる女生徒に蹴りを入れてるところだった。
 今でもはっきり覚えているけど、慌てて止めに入ったあたしに向かって、瀬里奈は言ってはならない言葉を口にしたのだ。
 「邪魔すんな、ガイジン!」
 カチンときたあたしの渾身の平手打ちは、瀬里奈の頬で炸裂。彼女に心底驚いた表情を浮かばせた。しかし驚きも束の間。容赦ない平手打ちが返ってきて、ものすごく痛かったのを覚えている。
 それからお互い掴みかかっての大喧嘩。今にして思えば、あたしより全然大きい瀬里奈に喧嘩で勝てると思ったわけじゃないんだけどね。とにかく集まってきたギャラリーに止められるまで、女の子らしからぬ殴り合いは続いた。
 その後、事件は意外な結末を迎えた。なんと瀬里奈のほうから謝ってきたのだ。と言っても、全然素直じゃない謝罪だったけど、それでもあたしをびっくりさせるには十分だった。
 それからあたし達の付き合いは始まり、彼女は暴力をふるうのをやめた。多分あたしと言う友達ができたからだと思う。それにしても殴り合いの喧嘩の後仲良くなるなんて、なんだか下手な少年漫画みたいね。
 付き合ってみてわかったが、瀬里奈は無愛想だし人付き合いも下手だけど、仲間と認めた相手には非常に義理堅い。ただ子供の頃から隠し子と除け者にされ、ひどい目にあわされてきた心の傷は深く、あたし以外にはなかなか心を開こうとしない。
 もっともそれを除けば、彼女は羨むところが多い。だって背は高いし胸は大きいし、彫りの深い顔立ちはモデルみたいで格好いいし、勉強もできれば運動神経もいい。おまけに目も髪も黒いんだもん!更には文才にも恵まれ、報道部では文章作成を担当。余談だけど、スプラッター映画は死ぬほど嫌いなようね。
 「でもさ、やるのは仕方ないけど、こんなつまんない記事作るために部を作ったんじゃないでしょ、何か面白いネタはないの?」
 物事の本質に鋭く切り込む瀬里奈は、報道部の現状をズバリと指摘。も〜、そんなことはわかってんのよ!


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