幼女仮面-1
夏休みが終わってあんなに大勢いた子供達の姿は見えなくなった。
けれど僕の夏休みはまだ続くから、こうやってお祖父さまの別荘に引き続き逗留することに。
「おにいさん、カナエはマショウのおんなだよ」
「ちがうよ。タマミ、なにいってんの。あははは」
「ほんとうだよ。おにいさんは、すぐボッキするからきをつけてよ」
「何言ってるんだ、タマミ。いつ僕が」
「ああ、はいはい。そうですね。おにいさんはそんなことありませんでした」
「ほ……本当に変なこと言うなよ」
ふと子供達との会話を思い出した。
タマミというのは小学校3年生だ。
子供達の中では世話女房型でこましゃくれたことも言う。
それじゃあきっとタマミは気がついていたんだ、あのとき。
タマミがふざけて膝の上に乗ったとき、向きを変えて僕に抱きついてきたときのことだ。
お互いの股間が密着して体を揺するもんだから僕は感じてしまって体の変化が始まった。
僕は感づかれないようにすぐにタマミを下ろしたが、やっぱり気づかれていたんだ。
それだけじゃなくて、その意味もわかってたということだ。
母親がスナックをやっているせいか、タマミはませているところがある。
子どもはストレートに喋るから本当に驚くし、逆にそれが冗談に聞こえることもある。
特に「マショウの女」というタマミの指摘は、言われた本人のカナエが笑っていなしたのでほんの冗談に思えた。
だがカナエに関する情報を話すときはいつもタマミは真顔だった。
「じどうかんに来た時はこのへんの子じゃないとすぐわかったよ。学校にいないもの」
「しんせきの家に来てるっていうからそうなんだろうけど、いつも1人で来るし、おしゃれなふくばかりきてる。なんかとってもヘン」
「なんかハナシがあわないっていうか、おとなびてるっていうか。
ヒミツが多いかんじなんだよ」
「だからつきあいたくなくてじどうかんをやめてこっちのこうえんに来ることにしたのに。
ここをかぎつけられたの」
タマミたちの住む下町からはここの公園は離れている。
一応この界隈は高級住宅街ということになっていて、別荘の目の前にある公園も近隣の子供達が遊びに来るというということは殆どない。
そこに違う町内のタマミたちが集まりだして、暇な僕が遊び相手になったのが始まりだった。
すると後から真っ白なワンピースと帽子を被ったカナエが現れた。
タマミたちのような粗末な服ではないので浮いている感じだった。
タマミたちも仕方なく仲間に入れて遊んでいたが、つとめて避けているようでもあった。
カナエは僕に対しても距離を保っていたが、そういうカナエが僕は気になった。
タマミと同じく3年生だというがスタイルが良かった。
背丈は130cmくらいで他の子と変わらないが、ウェストが締まっていて胸やお尻の膨らみがとても形が良かった。
また膝のちょっと上から伸びた足がすらりとしていて綺麗だった。
そして不思議なのがいつもお洒落なよそ行きのワンピースで現れることだ。
「見た人がいるんだけど、カナエがおとなの男の人とあるいてたって。それも同じあいてじゃないって。もしかしてエンコウ?かも」
それもカナエに直接聞いたときお父さんや親戚の叔父さんと歩いていたと弁解してはいたが。
「もしさ。ひとりだけころしてもいいって言われたら、おにいさんはだれをころす?」
タマミの話しにいつもの冗談かと笑ったときに、彼女はぼそっと言った。
「わたしはぜったいカナエ」