幼女仮面-7
翌日寝不足の目をこすっていると玄関に変な男が来た。
「カナエの父親だ。お前か娘に変なことをしたのは？」
僕はいきなり殴られた。何発も殴られ、倒れると蹴られた。
「あんな子どもをよくもオモチャにしてくれたな。
直接お前の爺さんに掛け合って慰謝料を頂こうじゃないか」
僕はこいつがカナエを性的に虐待している義父だと思った。
自分のしたことを棚にあげて勝手なことを言う。
けれどそれは口にできなかった。
「待って下さい。１週間待って下さい。お金を用意します。
だからお祖父さまには言わないで下さい」
結局僕は２００万円用意すると約束した。
男は素直に帰って行った。
きっと男はその後も僕を強請るだろう。
そして僕から搾り取れなくなったら、お祖父さまに話しを持って行くだろう。
カナエはあの男がいる限りオモチャにされて人生を目茶目茶にされるに違いない。
僕は２００万円なんか用意できなかった。
それどころかかき集めても１５万円くらいしか集めることが出来ない。
それだってなくなれば生活できなくなる。
あの男は僕が金持ちの孫だということで搾り取れると思ったのだろう。
それよりもこんなことをお祖父さまに知られたら、ただでさえ信頼のない僕は完全に一族から見捨てられるだろう。
一族の恥になる人間は切り捨てられるからだ。そんな例を僕は幾つか見て来た。
一週間後男はやって来た。
僕は紙包みを手渡した。男が中を改めようとしたとき、通販で取り寄せた熊避けスプレーを顔に吹きかけた。
「ぎゃーーーっ！」
男が目を覆って悲鳴をあげたときに僕はやはり通販で買ったスタンガンを体に押し付けた。
男は声を漏らさず倒れた。僕は何度もスタンガンを当てた。
そしてそれからバットで何度も叩いて足が痛くなるまで蹴った。
それから裏庭に掘っておいた穴まで台車に載せて運んで行き、男を穴の中に落とした。
その後土をかけてすっかり埋めた。穴の深さは３ｍだった。
１週間かけて掘った穴だ。
カナエが現れたのはそれからしばらくしてからだ。
カナエは何もなかったかのように家に上がって来た。
「お父さん、いなくなっちゃった。おかねもうけのはなしがあるっていってたけど、それっきり」
「もうもどってこないのかな？」
「たぶん。おかあさんのいうにはだれかをゆすってたらしいって。
だからぎゃくに口をふさがれたんだろうって」
「もういやなことはされないよね」
「うん。だからわたしもおかあさんもしあわせだよ。あいつけっこうひどいことしてたから」
「そうだったんだ。よかったね」
「きょうはおわかれにきたんだよ。こんどひっこしてこの町出ていくから」
「そうか。さみしくなるね」
「これ、おわかれのプレゼント。あとで見てね」
何か四角い封筒をカナエは僕にくれた。
僕はあげるものがなかったので、自分がしていた腕時計をはずしてあげた。
「高いものじゃないけど、記念にあげるよ」
「ありがとう。それじゃあ、おにいさんも元気で」
カナエが行ってしまうと僕は家の中に入って封筒を開けた。
そこにはＤＶＤと手紙が入っていた。
ＤＶＤを見るとそれはアダルトＤＶＤだった。
そこに映っていたのはカナエだった。
カナエがランドセルを背負って大人の男に犯されて行く動画だ。
途中で僕は見るのをやめて手紙を見た。
そこにはパソコンの文字でこんなことが書かれていた。