一生分の恋-4
「.......っ......夢か......」
久しぶりに茉莉菜の夢を見た......
「なぁ....茉莉菜......俺はどうしたらいい?」
そう呟いたが茉莉菜が答えてくれるわけがなかった。
「自分で答えを見つけなければならないのにな......」
そんな事はわかっている......わかっているのに......決められなかった......何故?......やはりどうしても茉莉菜の事が引っかかってしまう......忘れたハズだったのにな......
今日は......今日だけは......亜梨紗の事を考えていたいのに......答えを見つけなければならないのに......体がいう事をきいてくれない......何か食べてくれと......冷蔵庫を見たが中身は空で仕方なく買い物に出た。辺りは暗くなっていた。
「よっ!少年!今からお出かけか!」
マンションを出た所で梓さんに声をかけられた。無視して通り過ぎようとすると
「無視するなよ!一夜を共にした仲だろ!」
「っ......」
振り返った俺の顔を見て
「悪い!冗談だ.....しかし....どうしたんだ?」
「梓さん......」
「えっ......何があったんだ?良かったら話を聞いてやるぞ?」
「俺自身の問題ですから......」
「そんな顔で言われてもな......飯でも奢ってやるよ!」
梓さんは俺の手を引いて歩き始めた。
「なんだ?話をまとめると......少年が亜梨紗に茉莉菜を見てしまうと、亜梨紗が思ってしまうかもしれないと思うから悩んでいると?」
「俺はそんな事言ってないでしょ!」
ファミレスに連れて来られた俺は梓さんに聞き出されてしまった。
「少年の話を聞いているとそうとしか思えないんだけど....」
「えっ?」
「本当はもう答えが出てるんだろ!自分の気持ちに正直になればいいんだよ!」
「梓さん......」
「少年はまだ若いんだろ!自分の思い通りにしていいんだよ!若さゆえに突っ走って失敗してしまう事もあるだろうけど......それもまた勉強だろ!そうやってみんな大人になって行くんだよ!」
「っ.....」
「もしも....その事で亜梨紗を傷つけてしまったら....本気で謝れ!亜梨紗ならわかってくれる!亜梨紗はそういう子だ!」
「・・・・・・」
「もしも....亜梨紗とうまくいかなくて....どうしようもなく辛かったら....私が慰めてやるよ!この前は少年の体で慰めてもらったからな!」
「なっ......」
「少年はただいい思いをしただけかもしれないけど......私は助けられたよ精神的に......」
「まさかあの時......」
「ああ....酔ってなかった......安心しろ!亜梨紗には内緒にしてやる!」
「別にいいですよ!困るのは梓さんのほうでしょ!」
「そうかもな....でもあの時は....女としての自信が無くて落ち込んでいたから助けられたよ....だから今度は私の番だよ!」
「梓さん......」
「正直に答えろ!いろんなしがらみを捨てて自分に正直に答えろ!好きなんだろ?亜梨紗が....」
俺は頷いていた。
「だったらその気持ちを亜梨紗に伝えろ!もし何かあったら私達がなんとかしてやるよ!」
「私達?」
「そう!私や香澄それに笑美や美菜ちゃん....みんなが......」
「ハイ!ありがとうございます!」
俺は梓さんに頭を下げた。
「ゴメン....笑美....そして美菜ちゃん......」
「えっ?」
「なんでもないよ!」
梓さんはそう言って笑った。