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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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一生分の恋-3

亜梨紗に告られた夜、俺は眠れなかった。返事をどうするか悩んでいたからだ....やっとウトウトしたのは明け方近くになってからだった。

「あっ!あなた、昨日も来てたよね?外は暑いから中に入ってもいいわよ!」
看護師さんが窓を開けて昨日俺が話しかけた少女に話しかけた。
「いいんですか?」
「本当はいけないけど!今日は特別よ!そのかわり誰か入って来たら部屋から出てね!」
「ハイ!ありがとうございます!」
少女はそう言って窓から離れて行った。
「いいんですか?」
俺が看護師さんに聞くと
「バレなければ構わないでしょ!それに葛城君も可愛いあの子がいたほうが張り合いがあるでしょ!そうか....葛城君はあんな子がタイプなんだ......」
看護師さんが俺の耳元で囁いた。俺が真っ赤になっていると
「照れるな!照れるな!昨日見てたよ!あの子に話しかけてるところ!さすがの葛城君もあの子のハートはそう簡単にKO出来なかったみたいね!」
「からかわないで下さい....」
そんな会話をしている時に
「失礼します......」
リハビリ室に少女が入って来た。

「ねぇ....どうしてそんなに頑張れるの?」
少女が話しかけてきた。
「えっ?」
「だって....とても痛そうだけど......」
「俺には夢があるから......」
「夢?」
「うん....あっ!でも....ちょっと違うな....夢というより目標だな......」
「目標?」
「うん....目標....俺さ....同じ目標に向かって歩いていた友達から託されたんだよ....俺よりも目標に近い位置にいた友達に......だから諦めたくないんだ......」
「頑張ってね!」
少女は笑顔で俺を見つめていた。
「ありがとう......」
俺は照れくさくて少女の顔をまともに見れなかった。

「大丈夫?」
リハビリを終えて車椅子に戻ろうとした俺に少女は肩を貸してくれた。
「ありがとう....」
お礼を言って少女を見た時、少女の右耳の後ろにオリオンの三星のような三つの黒子を見つけた。

「へぇ....あなたの目標って世界チャンピオンになる事なの?」
リハビリ室を出てから俺達は少女に車椅子を押してもらい話しながら歩いた。
「うん....笑っちゃうだろ!幼い目標で....」
「ううん....笑ったりなんかしないよ......そんな目標があって羨ましいな......」
「えっ?君にはないの?」
「あったけど無くしちゃった......」
「えっ?何?」
「ピアノ......私の叔母さんはヨーロッパでは有名なピアニストなの......私も叔母さんのようなピアニストになりたかったんだけどなぁ......」
「今からでも頑張ってみれば?」
「ムリだよ....私なんかじゃ......そんな事出来るのは神様に選ばれた一握りの人だけよ......あなたはきっとその一握りの人......私の分も頑張ってね......」
その時の俺には彼女にかける言葉が見つからなかった。
「あの......」
「そんな顔しないで......趣味でピアノは弾けるから......」
少女は笑顔を俺に見せてくれた。
「そうだね!」
そんな少女に俺はぎこちない笑顔しか見せられなかった......

それは茉莉菜と初めて会話した日の事......まだ茉莉菜の名前も知らなかった......俺達はお互いに名前も知らずに惹かれていった......そんな日の夢を見ていた......


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