花火に舞う乙女恋心-1
海からの帰りの電車で四人の女の子がやけにおぼつかない様子だった。
特に春や理名さらには可鈴にいたっては俺と目が合うと顔を赤らめて反らしている。玲奈にいたっても一言も話さずに窓の外を眺めて黄昏ている。
すると春が俺に話をしてきた。
「なぁ、おたっくん。今日は助けてくれてありがとな。」
「・・・・私からもありがと」
「私も感謝してます。ありがとうございます匠くん。」
「みんな改まって言わないでよ。でも俺からもありがとう、女の子と遊んだのは久しぶりだし楽しかった」
その様子を見て玲奈も話の輪にはいってくる
「だったら、8月にやる花火大会を生徒会で行かない?」
「おっ、いいね ナイスアイディアだべ会長」
「私も賛成です」
「・・・同じく」
こうして8月にやる花火大会にまた生徒会で行くことになった。
そして電車を降りて玲奈と帰る途中
「ねぇ、匠?」
「何?」
「花火大会なんだけど少し早めに一緒に屋台を回りたいな。」
「いいね!デートってやつだね」
「ふふっ、嬉しいの?」
「そりゃもちろん。嬉しい」
「そっか 素直でよろしい・・・ちゅっ」
玲奈は不意に俺の頬にキスをした。
「じゃ、花火大会の日に会おうね!またねっ」
「うん、またね」
そして8月になりお盆休みが過ぎて蝉時雨が鳴く頃の夕方前に花火大会の当日。
俺は玲奈の家に迎えにきた。すると厳つい男が現れる。
「いらっしゃい 坊主。」
「どっどうもです」
まだ厳つい男に慣れない俺。
普段は美少女がでるアニメやゲームしかやらないから男をみると拒否反応をしてしまう。
「おい!坊主 前の件でお嬢を助けてくれてありがとな。感謝する」
前の件とは水族館のことだろう。
なんせ事件があったその日に玲奈の母さんからお礼の電話があってビックリした。
「いや、当たり前のことをしただけです。」
「今時の若いのとは違うなっ その謙虚さ俺はすきだ」
「あっ、ありがとうございます」
男に好きと言われるとむしずが走る
そこへ玲奈が現れたが浴衣姿での登場にさっきの毒絵を見た俺の目が優しく癒されるのがわかる。
浴衣はピンク色に黄色い花柄がついている。
髪型も後ろの長い黒髪をたくしあげていて玲奈の首筋から浴衣の襟にかけてのうなじがそそるように美しく見とれてしまう。
「匠、どうかしら?」
「にっ、似合ってるよ玲奈」
「じゃ早く行こうか。みんなが来る前に二人っきりを楽しもうね」
俺と玲奈は手をつなぎ花火大会へ向かった。