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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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垣間見える過去-8

彼の言葉が何だか意外で、あたしは目を丸くして彼を見つめた。


「本命はちゃんといながらも、彼女を作ってたってことですか?」


「んー、身も蓋もない言い方すればそうなるかな。

本命を諦めるために別の女と付き合ってたって感じ」


「……信じらんない」


「俺、結構ズルいよ?

でも、女ってそういうのすぐ見抜くんだよね。

だからいつも付き合ってた娘からは愛想尽かされてたんだ。

で、そうなる度に中途半端な気持ちで他の娘と付き合うのは止めようって決意するんだけど、本命が俺の気持ちなんて気付かないで彼氏といちゃつくのを横で見てればムシャクシャしてきてさ。

結局あてつけみたいに別の女と付き合って……みたいなこと繰り返してた」


久留米さんは自嘲しながら、今度はタコわさびを一口食べた。


思いの外辛かったのか、くしゃみを一つして。


久留米さんが自分のことを話してくれたことが意外で、それが嬉しかった反面、少し寂しそうな顔をする彼になぜか胸が苦しくなる。


この人がそんなズルい真似をしてまで諦められなかった女の子ってどんな人なんだろう……?





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