垣間見える過去-2
しかし、バリバリに気合いの入ったあたしが連れてきたお店は、きったない居酒屋だった。
店構えは相当年季が入っていて、古く狭く、客層はおっさんばかりだし、天井は油でベトついている。
あたし達がお座敷で座る座布団はせんべいのようにペッタンコだし、壁にはお店のご主人の趣味なのか、あちこちの地名が入ったペナントが貼られたりと、ムードもへったくれもないお店だった。
ホントはもっとオシャレでいいムードになれそうなお店にしたかった。
だけど、そういうお店は全て塁と一緒に行ったことのあるとこばかりだったから、なんとなくためらってしまったのだ。
だから、家族でよく行くこの馴染みのお店に連れてきたんだけど、気合いの入ったあたしだけがこの店の雰囲気から浮いていた。
自分の判断が間違えていたあたしは、久留米さんに対して申し訳なくなってしまい、
「すいません……、こんな汚いお店連れてきちゃって」
と、頭を下げた。
でも彼は気にも留めない様子で、
「いや、俺こじゃれた店よりこういう店の方が好き」
と、今度はビールを喉を鳴らしながら飲み始めた。