垣間見える過去-13
他人事みたいな応援なんて、本当はして欲しくなかった。
その証拠に、“なかなか美人”だなんて褒めてもらっても嬉しくない。
何でだろう、久留米さんはあたしのためを思って言ってくれてるんだろうけど。
「そうですね、あたしもこんな関係キッパリ終わらせて他に目を向けてみます」
あたしがそう言って、真剣な眼差しを向けても彼は笑って、
「頑張ってね」
と、言うだけ。
欲しいのはそんな言葉じゃない。
冗談でもいいから“俺なんてどう?”みたいな期待させる言葉が欲しい。
きっとこれがあたしじゃなくて、本命さんだったならどんな言葉をかけるのだろう。
そう考えて歯をギリッと鳴らす自分に驚く。
……ああ、そうか。あたしは確実に嫉妬していたんだ。
会ったことのない、久留米さんの本命に。
笑わないわ、無口だわで、ずっと浮いた話がなかったという久留米さんが、本命さんの話をしたときに見せた、切ない顔や懐かしそうに目を細める顔。
きっと、こんな顔は本命さんにしかさせられないんだ。
――悔しいな。
呑気に料理を再び食べ始めた久留米さんをジッと見つめるけれど、彼はそんなあたしの視線も気付かずに、残りのビールを飲み干していた。