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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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酔ったフリして-3

「お前....本当にダメだったんだ....」
「うん....」
「どうして?高い所が苦手なのか?」
「そういうわけじゃないけど....」
「えっ?」
「スピードを出して落ちていくのがイヤなんだよ....」
「じゃあ..エレベーターなんかは?」
「正直言って苦手だな....それでも我慢して使っているけど....こればっかりは慣れないな....」
亜梨紗は微笑みを浮かべていた。
「なんだよ!笑いたければ笑えよ!」
「どうして?アタシだってホラーハウスで醜態を晒したんだよ!これでアイコだ!」
「何言ってるんだよ!亜梨紗は女の子なんだから....可愛く見えるけど俺は....」
「えっ?なんて言ったんだ?」
「自分が情けない....って言ったんだよ....」
「違う!その前!」
「えっ....亜梨紗が可愛く見えたって....」
「えっ?」
「亜梨紗が可愛かったって言ったんだよ!」
(初めからわかってたくせに....何度も言わせて....)
少しイラついたように亜梨紗を見ると
「ありがとう....お世辞でも嬉しいよ....」
亜梨紗は笑顔で俺にしがみついてきた。俺も悪い気はしなかった。
「なんだ?やっぱりお前達つき合ってたんじゃないか!」
声の方を見ると俊輔だった。
「ねぇ!やっぱり観覧車に乗るんでしょ?一緒に行こう!」
初音ちゃんがそう言って、俺達の背中を押すように観覧車の方に歩いて行った。この観覧車には伝説がある....正午に流れる音楽を観覧車のてっぺんでキスしながら聞くと幸せになれると....
「ちょっと!俺達は別に....」
「何照れてるんだよ!いいから行こうぜ!」
「そうよ!二人はお似合いよ!」
俊輔と初音ちゃんはそう言いながら俺達を観覧車の方に連れて行った。



「お前達チュウしたのか?」
俊輔君から私達が観覧車のてっぺんで音楽を聞いた事を聞いて拓弥君が純君を問いただしていた。
「するわけないだろ!俺達はそんな関係じゃないから....なぁ?亜梨紗?」
「えっ?ああ....」
「でも....私は二人はお似合いだと思うけどなぁ....」
瑞希が言うと
「そうよ!つき合っちゃえば?」
初音が続けた。
「それとも誰か好きな人いるの?」
「そういうわけじゃ....」
「だったら....」
「ねぇ!」
瑞希と初音は顔を見合わせて頷いた。
「だったら俺とつき合わない?」
拓弥君が笑いながら話しかけてきた。
「冗談は顔だけにしろ!お前は好きな人がいるんだろ?」
「相変わらずキツい事言うなぁ美浦は....でも姫にはフラれたよ....この前改めて告白したんだ....」
「だからってアタシに乗り換えられてもなぁ....」
「そんな事言わないでさぁ!」
「却下!」
「そんなぁ....」
この六人は、純君が茉莉菜とつき合っている頃からの仲間だ....私の気持ちは瑞希や初音に知られている....そしてたぶん俊輔君や拓弥君にも....だから拓弥君はおどけてああ言ったんだろう....そう私は純君の事が好き....純君が茉莉菜とつき合っている頃から....でも自分の気持ちを押し殺してきた....あの頃も....そして今も....瑞希には....信じられないくらいのバカ!自分の気持ちに正直になりなさい!ってよく言われる....しかし私には出来なかった....理由はわかっている....勇気が無いだけ....だから茉莉菜がいなくなる少し前....私は日本を離れた....ピアノの勉強のためにウィーンに行くっていう名目で......純君の前では素直になれずぶっきらぼうに振る舞ってしまうのもそのためだ......離れていれば忘れられる......そう思っていたのに......今年の初めに偶然に逢ってしまって改めて気づかされた......純君が好きだって......



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